2023 Fiscal Year Annual Research Report
前帯状皮質におけるケタミン及びケタミン代謝物の疼痛抑制メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K18072
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山中 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30597084)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Ketamine / Presynaptic LTP / Postsynaptic LTP / anxiety / Whole cell patch-clamp |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでC57BLマウスの前帯状皮質(ACC)にWhole cell patch-clampを適応し、低濃度ケタミンおよびケタミン代謝物質のPre-LTP, Post-LTPの抑制効果を示してきた。また、低濃度ケタミンはNMDA受容体にほとんどせず、ACCに投射されているシナプス前終膜に存在する過分極ヌクレオチドチャネルを抑制することでLTPを抑制していることが明らかとなった。今回、C57BLマウスの前帯状皮質(ACC)に経頭蓋的カニューラを設置後7日目に行動実験を行った。実験15分前にガイドカニューレより0.7mm短い30G注射針を装着したハミルトン注射器を用いて、薬液をマイクロインジェクション(0.5 μL/side、1分以上かけて)を行った。神経障害性モデル群とSham群に生理食塩水、ケタミンおよびケタミン代謝物のマイクロインジェクション投与前後でvon Frey test、Hot plate testを用いて疼痛行動学的解析、高架十字迷路(EPM test)を用いて不安様行動の解析を行った。また、行動学試験の後、使用したすべてのマウス脳スライス標本を作製し、注射部位を確認した。 結果は、von Frey testおよびHot plate testともにケタミンおよびケタミン代謝物質投与群が神経障害性モデルラットにおいて有意差をもって疼痛改善を示した。また、EPM testでは神経障害性モデルラットへのケタミンおよびケタミン代謝物質投与群は生食群と同様の行動結果が得られ、不安様行動が有意に改善された。以上より、ケタミンおよびケタミン代謝物質は慢性疼痛における疼痛抑制作用及び不安改善作用を有することが明らかとなった。 現在、トロント大学と共同研究を行っており、論文執筆中である。
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