2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of chronic pain mechanism by approach from physiologically active substances, neural circuits and aging
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20K18079
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松浦 孝紀 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (90821679)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オキシトシン / LTP / 炎症性生理活性物質 / MMP |
Outline of Annual Research Achievements |
オキシトシン(oxytocin;OXT)に改変赤色蛍光タンパク1を標識したOXT-monomeric Red fluorescent Protein 1 (mRFP1) トランスジェニックラットを用い、視床下部領域の脳スライスを作成し、ホールセル・パッチクランプ法を行った。具体的には、ラットの頸椎脱臼後、脳をすみやかに取り出し、電動マイクロスライサーを用いて、視床下部を含む脳スライス切片を作成し、人工脳脊髄液灌流下で、顕微鏡下にてOXT-mRFP1ニューロンにパッチした。今年度はまず炎症性生理活性物質のマトリックスプロテアーゼ (MMP)の薬理学的作用について検討した。刺激電極を視床下部室傍核の記録するOXTmRFP1ニューロンの背側に置き、無治療群ラットのOXT-mRFP1ニューロンにおける誘発興奮性シナプス電流の記録し、Paring-protocolと一般的に呼ばれる特殊刺激により、OXT-mRFP1ニューロンの長期増強(LTP)が誘発したことを確認後、Broad MMP inhibitorであるGM 6001ならびにMMP-3 inhibitorであるUK 356618投与下でのLTPの誘発について検討した。結果、OXT-mRFP1ニューロンでのLTPは、GM 6001ならびにUK 356618投与下では、誘発されなかった。現在、MMP-3によりLTPが誘発されなかった細胞内メカニズムについて検討している。現段階で、NMDA受容体阻害薬であるD-AP5、NO阻害剤阻害薬であるL-NAME、PKA阻害薬であるKT 5720、細胞内Caキレート剤阻害薬であるBAPTAにより、視床下部OXTニューロンのLTPを引き起こすシグナル経路に関与していることを確認しており、これらのシグナル経路がMMP-3によるLTPを抑制メカニズムに関与する可能性があり、実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、炎症性生理活性物質であるMMPが視床下部オキシトシンニューロンのLTPを抑制したことが実験結果から判明した。当初予定していたその他の炎症性生理物質や骨代謝産物についても今後検討していく予定ではあるが、研究の方向性を一部転換し、細胞内シグナリングを解明する実験を進めている。細胞内シグナリングを解明することで、さらに当初予定していたその他の炎症性生理物質や骨代謝産物についても速やかに検討できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き骨代謝産物なならびに炎症性生理活性の薬理学的作用について検討していく。骨代謝産物としては、脳内の移行性が知られている骨形成マーカーの一つであるオステオカルシン (OCN) ならびに骨吸収マーカーである酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ-5b (TRACP-5b)に着目してく。また炎症性の生理活性物質として、サイトカインであるIL-1β, 6、 その他としてTNF-αに着目し、LTPとの関係性についてさらに検討していく。また前帯状回・錐体ニューロンでのLTPに対しても、これらの骨代謝産物ならびに炎症性生理活性物質の薬理学的検討を行うために、同様にスライスでのホールセル・パッチクランプ法にて検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響により、一時施設の立ち入り制限や物品の調達が滞り、実験の内容を一部変更したことで、実験の薬物購入に変更が生じた。また予定していた学会参加が出来ずに交通費等の使用がなく、次年度に使用額が生じた。次年度使用額は、今研究の成果について積極的に発表していく場を設け、論文を記載する際の英文校正にも使用したいと考えている。また上記に記載した今年度の実験内容を遂行する実験薬物の購入にも使用したいと考えている。
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Research Products
(2 results)