2020 Fiscal Year Research-status Report
飽和脂肪酸摂取による膜リン脂質アシル基飽和化を介した前立腺癌発症進展機序
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20K18084
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小泉 淳 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (50813987)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 肥満 / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌は本邦男性において最も罹患率の高い癌であり、社会的に注目されている。高脂肪食およびそれに伴って引き起こされる肥満は前立腺癌発症・進展の危険因子とされ、また前立腺癌腫瘍内では脂質代謝亢進が報告されるが、外因性脂質、内因性脂質代謝と前立腺癌増悪進展の関連は不明である。私達は膜リン脂質であるイノシトールリン脂質(以下PIPs)に着目し、マウス前立腺癌モデル、ヒト前立腺組織のPIPs発現プロファイルを明らかにし、PIPsの脂肪酸飽和度が非癌組織より亢進し、癌増悪に関連している可能性を見出している。これまでの成果を踏まえて、本研究では外因性脂肪や肥満が前立腺癌脂質代謝を制御し、癌発症進展に影響すると仮説を立てた。特異的な脂質が前立腺癌増悪進展に関与するかを細胞株、動物モデル、臨床検体を用いた検討から解析し、特に前立腺内脂質代謝変化を中心とした分子生物学的機序解明を目的とした。本年度は高脂肪食が前立腺癌細胞ゼノグラフトの増殖を促進し、その腫瘍細胞の細胞内脂質代謝産物の変化を網羅的に解析しリン脂質プロファイル解析を行った。これによりPIP3のいくつかのサブクラスが高脂肪食摂取下の前立腺癌ゼノグラフトで増加していることを見出した。また関連分子候補FASNを同定し、この分子を薬剤で阻害した際のリン脂質プロファイルも同時に解析し、PIP1,PIP2,PIP3が低下していることを見出した。同時に特定の脂質(ラード食、魚油食)の違う食餌による前立腺癌増殖変化マウスモデルも確立しており、研究は順調に進んでいると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は高脂肪食が前立腺癌細胞ゼノグラフトの増殖を促進し、その腫瘍細胞の細胞内脂質代謝産物の変化を網羅的に解析しリン脂質プロファイル解析を終了した。また関連分子候補も同定し、この分子を薬剤で阻害した際のリン脂質プロファイルも同時に解析終了した。本結果は現在論文投稿中である。更に特定の脂質(ラード食、魚油食)の違う食餌による前立腺癌増殖変化マウスモデルも確立しており、このモデルによる脂質プロファイルの解析も検討中であり研究は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)特定の脂質の違いによるマウス前立腺癌増殖進展モデルによる脂質代謝関連分子、脂質代謝産物プロファイル解析 2)In vivo, In vitroによる特定の脂質代謝産物変動に関連する脂質代謝関連分子の同定と前立腺癌増殖への関連の機能解析 3)候補分子のヒト前立腺癌検体での発現とメタボリック症候群や臨床因子・アウトカムとの関連検討
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Causes of Carryover |
わずかに余った残額で購入できる適当な物品がなかったため。今年度配分額と合わせて、マウスの購入に使用予定である。
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