2021 Fiscal Year Research-status Report
BCG壁脂質リポソームと抗PD-1抗体の併用による転移性膀胱癌治療の開発
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20K18089
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉野 喬之 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40734348)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / BCG / リポソーム / TDM |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ミコール酸関連物質リポソーム製剤の抗腫瘍効果 BCGを含めた抗酸菌に特徴的な脂質であるミコール酸は細胞壁においては様々な物質と結合しミコール酸関連物質として存在する。中でもトレハロースを介して2つのミコール酸が結合したトレハロースジミコレート(TDM)は細胞壁の中で最も多量に含まれるミコール酸関連物質であり、抗腫瘍効果について検証したところTDMリポソーム製剤がより強い抗腫瘍効果を示すことが明らかとなった。本研究ではTDMの抗腫瘍活性を継続して研究しているが、TDMリポソーム製剤は腫瘍株皮下接種マウスモデルだけでなく、BBN(N-Butyl-N-(4-Hydroxybutyl) Nitrosamine)経口摂取を用いた膀胱内化学発癌マウスモデルでも抗腫瘍効果を示すこと示唆された。 2.ミコール酸関連物質リポソーム製剤の抗腫瘍効果のメカニズム BBN経口摂取による膀胱内化学発癌マウスの膀胱からRNAを抽出し、網羅的なトランスクリプトーム解析を行ったところ、TDM投与群では501個の発現変動遺伝子(log2(Fold change)>1,raw p value<0.05)が確認され、Pathway解析ではB細胞系、T細胞系の免疫細胞へのシグナルやサイトカイン分泌のupregulatedな変化を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TDMリポソーム製剤は、BBN経口摂取による正所性発癌モデルでも抗腫瘍効果を示すことが示唆された。また、この抗腫瘍効果は製剤の局所投与ではなく全身投与でも発揮されることが示唆された。このことから、BCG膀胱内注入療法に代替する新規免疫療法開発につながる可能性が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
TDMリポソーム製剤の抗腫瘍効果のメカニズムを明らかにするためTDMリポソーム製剤投与を投与したBBN経口摂取膀胱内化学発癌マウスの膀胱を免疫染色し、膀胱局所での免疫細胞活性について検討を行う。また、フローサイトメトリーを用いて免疫細胞の解析を行う。
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