2022 Fiscal Year Annual Research Report
BCG壁脂質リポソームと抗PD-1抗体の併用による転移性膀胱癌治療の開発
Project/Area Number |
20K18089
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉野 喬之 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40734348)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / BCG / リポソーム / TDM |
Outline of Annual Research Achievements |
・ミコール酸関連物質リポソーム製剤の抗腫瘍効果のメカニズム BCGを含めた抗酸菌に特徴的な脂質であるミコール酸は細胞壁においては様々な物質と結合しミコール酸関連物質として存在する。中でもトレハロースを介して2つのミコール酸が結合したトレハロースジミコレート(TDM)は細胞壁の中で最も多量に含まれるミコール酸関連物質であり、免疫調整物質としての機能が知られている。本研究ではTDMの抗腫瘍活性を継続して研究しておりTDMリポソーム製剤は腫瘍株皮下接種マウスやBBN(N-Butyl-N-(4-Hydroxybutyl) Nitrosamine)経口摂取による膀胱内化学発癌マウスモデルでも抗腫瘍効果を示している。 また、NK細胞を除去したNK depletedマウスにおいてはTDMリポソームの抗腫瘍効果が消失したことから、TDMによう抗腫瘍効果誘導にはNK細胞が何らかの重要や役割を担っていることが推察された。そのためTDMリポソーム製剤を腹腔内接種したマウスに対してフローサイトメトリーを行い腫瘍局所及び所属リンパ節、脾臓でのNK細胞の活性について検証したところ、腫瘍局所においては細胞障害性NK細胞の有意な増加が認めた。また、リンパ節や脾臓においては他の免疫細胞の活性化を誘導するサイトカイン分泌型のNK細胞の有意な増加を確認した。さらに、我々は過去にTDMリポソーム製剤は樹状細胞を活性化させることで腫瘍特異的免疫を誘導することを報告しているが、NK depletedマウスにおいてはこの樹状細胞の活性化が消失することが確認された。 以上より、TDMリポソーム製剤による抗腫瘍免疫においてはNK細胞が重要な役割を担っていることが推察された。
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