2021 Fiscal Year Annual Research Report
扁平上皮分化を伴う浸潤性膀胱癌におけるJAG1の役割の解明
Project/Area Number |
20K18093
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池田 健一郎 広島大学, 病院(医), 助教 (50624863)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / 扁平上皮分化 / JAG1 |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]浸潤性膀胱癌(MIBC)検体におけるJAG1ならびにNOTCH受容体発現パターン 術前化学療法(NAC)施行前のMIBCコホート(n=150)における膀胱癌組織中、mRNA発現別のサブタイピングを行い、扁平上皮分化が特徴の一つとされる基底型サブタイプ腫瘍48例の組織マイクロアレイ(TMA)を用いてJAG1発現を免疫組織化学で評価したところ、JAG1陽性部分に有意に扁平上皮分化を認めた。このことから、 膀胱癌組織におけるJAG1発現が扁平上皮分化と関連することが明らかとなった。 また、TCGAのMIBCコホート解析では、扁平上皮分化を伴う基底型mRNAサブタイプの腫瘍は、その他の腫瘍と比較し有意に予後不良であり、扁平上皮分化を伴う基底型サブタイプではJAG1 mRNA発現が有意に高値であった(p<0.001)。化学療法未治療のTCGAコホートならびに術前化学療法(NAC)コホートのいずれのGSEA解析においても、JAG1高発現症例ではJAG1低発現症例と比較して、“TNFα signaling via NFkB”関連遺伝子群の発現が有意に濃縮されており、TNFαシグナルとの関連が示唆された。 [2]JAG1がNOTCH受容体シグナル経路に及ぼす影響と扁平上皮分化との関連について、今後細胞株を用いた実験を行い、明らかとしていく予定である。 [3]JAG1駆動性NOTCHシグナル活性化が化学療法の感受性に及ぼす効果 研究計画を若干変更し、公共データとして入手可能となった、化学療法や免疫療法投与されているMIBC症例におけるRNA-Seqデータの解析を行い、[1]で 使用した患者検体で得られたデータとの整合性を検証した。使用したコホートにおける臨床病理学的項目と、JAG1およびNOTCH経路に関連した遺伝子発現プロファイルならびに評価可能なタンパク質発現データを比較し、薬剤応答性(病理学的ダウンステージ)ならびに薬物療法後の予後に対するJAG1駆動性NOTCHシグナル活性化の診断・治療マーカーの意義につき検討し、その有用性を裏付ける結果を得ている。
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