2021 Fiscal Year Research-status Report
エストロゲンレセプターからみた前立腺肥大症の病態解明と新規治療法の開発
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20K18094
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
溝口 晋輔 大分大学, 医学部, 助教 (70751733)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肥満 / GPER |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】メタボリックシンドロームは前立腺肥大症の発症と関連していることが知られており、その要因の一つとして、脂肪細胞の増加に伴う血中エストロゲン レベルの増加が指摘されている。【目的】メタボリックシンドロームにおける前立腺肥大 症の発症と前立腺組織におけるG protein coupled estrogen receptor (GPER)の関わりを明らかにするために、前年度に引き続き、肥満モデルラットの前立腺におけるGPERの役割について検討した。【方法】雄Wistarラット(190-210g, n=18) を通常食餌群と高脂肪食群、さらに高脂肪食群にG1(GPER agonist)、G15(GPER antagonist)を投与した。両群をそれぞれの食餌のみで12週飼育したのち、2週間プラセボ、G1またはG15を連日経口投与した。前立腺側葉を採取し、TGFβ、IL1β、ERK1,2のmRNA発現量について解析した。【結果】前立腺側葉におけるIL1βとTGFβのmRNA発現量は、G1投与群でG15投与群と比較し、増大傾向であった。またERK1のmRNA発現量は各群で有意変化は見られなかったが、ERK2のmRNA発現量はG1投与群において、G15投与群と比較し有意な発現亢進をみとめた。【考察】GPER刺激において、GPER抑制群と比較すると、炎症性サイトカイン(IL1β)の発現亢進を認めた。また線維化に関連するTGFβもGPER刺激群で発現亢進している傾向であり、ERK2の有意な発現亢進を認めた。以上からメタボリックシンドロームの関連する前立腺肥大症の発症には、 GPER活性化が組織の炎症および線維化を誘導している可能性と、その伝達経路にMAPK(ERK1/2)が関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動物実験施設の改築、研究室の移転に伴い、研究を行うことができない期間があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満モデルにおけるGPER刺激またはGPER抑制薬投与群におけるMAPKの伝達経路について検討する。 肥満モデルの排尿行動について検討し、膀胱組織の分子生物学的検討を行う。 肥満モデルにおいて、12週をこえてきたところで通常食群との体重差が小さくなる傾向にあった。内臓脂肪は脂肪食群において有意に多いことがわかっているが、肥満モデルについて検討するためにSDラットや他の脂肪食を用いた肥満モデルの検討を行う。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、動物実験施設と当教室の実験室を含めた改築のために、円滑に実験をすすめることが出来なかったため。 令和4年度における繰越金として、914889円が生じたが、その使用計画は以下の通りとする。 物品費 800000円 (試薬、動物、飼育費など) 旅費 50000円(第29回日本排尿機能学会、札幌) 謝礼、人件費 0円 その他 25219 円 合計 875219円
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