2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム不安定性に着目した浸潤性膀胱がん遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
20K18096
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 健司 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (80566232)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | UQCRB / 筋層浸潤膀胱癌 / 筋層非浸潤膀胱癌 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
発癌マウスモデルを用いて検証した結果UQCRBは、発がん早期にゲノムの不安定化が起こり、徐々に安定化することがわかった。発がん早期より発現が上昇し、浸潤がんに移行するに従って低下していた。ヒトにおいては、high gradeのがんではゲノムの不安定化は小さく、浸潤がん部でも発現は小さいことを昨年度に証明した。筋層非浸潤性膀胱癌の動物モデルはBBN自由飲水ラットモデルが有名であるが作成に半年から10ヶ月時間がかかることと、BBN発癌物質であり、研究者にリスクを伴う。このために本研究を加速させるためにも、BBN自由飲水ラットモデル以外のモデルで、かつ簡便に作成可能なモデルを確立することが必要であると考え今年度はマウスモデルの作成を試みた。C57BL/6Jマウス7週齢メスに経尿道的にカテーテルを挿入。粘膜バリアを破壊するためにトリプシンを膀注。次に膀胱癌細胞浮遊液を膀注し、3.6.8日後に膀胱を摘出するものである。マウスへの経尿道的カテーテル挿入も可能であった。結果は、注入後6日以降では100%膀胱癌は生着したが、8日目は筋層浸潤を示した。NMIBCモデルは6日目で完成することが示された。つまり、簡便な方法でまずNMIBCモデルを作成する。そのまま経過観察をしているとMIBCになるのである。発癌モデルではないが、MIBCになる段階でUQCRBの変化を検証することは有意義なことと考えた。R3は、簡便に作成可能なNMIBCマウスモデルに確立を行った。これを用いてNMIBCからMIBCへ進行する段階でのUQCRBの発現についてはR4に検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、UQCRBの発がん過程での役割を膀胱がんモデル動物だけでなく、ヒトの細胞株と膀胱組織を用いて明らかにすることが目的である 。さらにUQCRBをターゲットとした浸潤性膀胱がんの遺伝子治療の可能性を探る。R3は膀胱がんマウスモデルを確立して終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
簡易に作成が可能な筋層非浸潤性膀胱癌マウスモデルを用いて、筋層浸潤性膀胱癌に変化するときのUQCRBの発現を検証していく
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Causes of Carryover |
膀胱発がん動物モデルで同定されたCNA領域におけるヒトとの相同性について、データベースを用いて検討を行い、ヒトとの相同性が判明している領域より、マウス染色体13領域のUqcrbに着目し、そのorthologにあたるヒトのUQCRB遺伝子を中心として本研究を進めることとなる。UQCRBの発がん過程での役割を膀胱がんモデル動物だけでなく、ヒトの細胞株と膀胱組織を用いて明らかにすることが目的である。計画自体は順調な滑り出しであったがCOVID-19による通常の医療業務が大幅に変更となり、予定していた研究を進めることができなかった。また国際・国内学会出張も計画していたが、出張することもできなかった。このため次年度使用が生じた。最終年度として、UQCRBをターゲットとした治療薬としての検討を行いたい。
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