2022 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム不安定性に着目した浸潤性膀胱がん遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
20K18096
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 健司 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (80566232)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲノム不安定性 / 核-細胞質間輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
UQCRBは、マウスでは、発がん早期にゲノムの不安定化が起こり、徐々に安定化することがわかった。発がん早期より発現が上昇し、浸潤がんに移行するに従って低下していた。ヒトにおいては、high gradeのがんではゲノムの不安定化は小さく、浸潤がん部でも発現は小さいことが証明した。令和3年度は簡便に作成可能な筋層非浸潤性膀胱癌マウスモデルの作成し、本年はNMIBCからMIBCへ進行する段階でのUQCRBの発現について検討する予定であった。しかし、発癌やNMIBCからMIBCへの進行には「核-細胞質間輸送」も重要なポイントと考え、発癌に関与する酸化ストレス負荷時の「核-細胞質間輸送」について検証した。 真核生物における「核-細胞質間輸送」はインポーチンβタンパク質によって行われうる。しかし、熱や酸化ストレスによりインポーチンβの働きは著しく損なわれる。2012年に熱や酸化ストレス負荷時にインポーチンβに替わり「核-細胞間輸送」を行うタンパク質「HIKESHI」が同定された。癌治療に抵抗性を示す原因の一つであるHSP70は、HIKSHIにより細胞質から核へ移行される。今回、ヒト去勢抵抗性前立腺癌患者に対し温熱治療を行い、著効した1例と、効果が無かった1例の前立腺癌組織でHIKESHIとHSP70の発現を検討した。その結果、効果がなかった症例の前立腺では細胞質でのHIKESHI発現の増加と、核内でのHSP70の発現が増加していることが判明した。HIKESHIをノックダウンすることでHSP70の核内移行が抑制されれば、治療抵抗性の癌に対する様々な治療法も効果が上がると考えられた。今年度は、本研究課題の治療が、より効果を上げるための癌組織側の要因について研究を行った。
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