2020 Fiscal Year Research-status Report
尿路結石形成の分子機構におけるオンコスタチンMの役割の解明とその治療への応用
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20K18098
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山下 真平 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20725569)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オンコスタチンM / 尿路結石症 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らのこれまでの研究の結果から、IL-6ファミリーのサイトカインであるオンコスタチンM(OSM)が尿細管上皮細胞や間質線維芽細胞に作用し、尿路結石の形成を促進する作用を有する可能性があることが示唆された。本研究の目的は、尿路結石形成過程におけるOSM の詳細な役割、及びOSM をターゲットとした治療の可能性を検討することで、尿路結石形成の分子生物学的なメカニズムを解明し、同疾患の治療へと繋げる事である。 当該年度は、結石モデルマウスから、OSM受容体の特異的サブユニット(OSMRβ)が発現している尿細管上皮細胞、及び線維芽細胞を分取・培養し、OSM刺激による炎症サイトカイン、及び結晶結合蛋白の発現量の変化について明らかにした。具体的には、シュウ酸前駆物質であるGOx(80mg/kg)を3 日間腹腔内投与したC57BL/6Jマウスより腎を摘出し、コラゲナーゼにより分解処理したのち、磁気標識細胞分離装置(Auto MACS:ミルテニーバイオテク社)を用いて尿細管上皮細胞、及び線維芽細胞を分取した。分取した細胞を培養し、OSMで刺激した時の炎症性サイトカインや結石形成関連遺伝子の発現をリアルタイムPCR法にて検討した。その結果、OSMの刺激により、尿細管上皮細胞では結晶結合蛋白および線維化マーカーの遺伝子発現量が、間質線維芽細胞では結晶結合蛋白、炎症性サイトカインおよび線維化マーカーの遺伝子発現量が上昇することが明らかとなった。 以上の結果から、OSMが直接尿細管上皮細胞や間質線維芽細胞に作用し、結晶結合蛋白、炎症性サイトカイン、線維化マーカー等の発現を惹起することにより、尿路結石形成を促進しているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、OSMの尿細管上皮細胞、及び線維芽細胞における直接的な役割を検討するため、OSMRβが発現している尿細管上皮細胞、及び線維芽細胞を分取・培養し、OSM刺激による炎症サイトカイン、及び結晶結合蛋白の発現量の変化について検討する予定であった。実験は計画通り進行し、その結果、上述した研究実績が得られた。本結果は、これまで得られている実験結果から考えても矛盾しないものである。 以上より、本研究課題の現在までの進捗状況としては、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究実施計画は下記の通りである。 1) 尿路結石形成過程におけるOSMの尿細管上皮細胞、及び線維芽細胞における役割の検討:申請者らのこれまでの研究によって、OSMRβが尿路結石形成過程における尿細管上皮細胞、及び間質線維芽細胞に発現していることが明らかとなっている。そこで、尿細管上皮細胞、及び間質線維芽細胞におけるOSMRβを特異的にノックアウトしたマウスを用いて、GOx投与後の結晶形成量や、炎症性サイトカイン、及び結晶結合蛋白の発現量の変化を検討する。結石モデルマウスとして、8 週齢のマウスにGOx(80mg/kg)を連日腹腔内投与するモデルが用いられており、作製した細胞特異的OSMRβKOマウス、及び野生型マウスにGOxを連日腹腔内投与し、GOx投与後の各ステージ(0, 3, 6 日)において、①腎結晶形成量に関する組織学的解析、②炎症性サイトカインや結石関連遺伝子に関する生化学的・分子細胞生物学的解析、③フローサイトメトリーによる解析等を行う。 2) OSMをターゲットとした結石形成抑制効果の検討:現在までのところ、OSMは尿路結石の形成を促進する可能性が示唆されている。そこで、8週齢の野生型マウスにGOxを投与するとともに、OSMの中和抗体を投与し、Glyoxylate 投与後の各ステージ(0, 3, 6 日)において、上記①から③の項目について評価する。この実験により、結石の形成過程におけるOSM、及びそのシグナルの直接的な阻害の尿路結石形成予防に対する効果を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、旅費や学会参加費が不要であったことが一因と考えられる。当該年度の実験計画遂行後、前倒し請求を行い次年度の実験にも着手したが、結果的にわずかに次年度使用額が生じた。 生じた次年度使用額については、引き続き行う実験で使用する消耗品などの購入費として使用したい。
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Research Products
(3 results)