2022 Fiscal Year Annual Research Report
尿路結石形成の分子機構におけるオンコスタチンMの役割の解明とその治療への応用
Project/Area Number |
20K18098
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山下 真平 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20725569)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オンコスタチンM / 尿路結石症 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らのこれまでの研究の結果から、IL-6ファミリーのサイトカインであるオンコスタチンM(OSM)が尿細管上皮細胞や間質線維芽細胞に作用し、尿路結石の形成を促進する作用を有する可能性があることが示唆された。本研究の目的は、尿路結石形成過程におけるOSMの詳細な役割、及びOSM をターゲットとした治療の可能性を検討することで、尿路結石形成の分子生物学的なメカニズムを解明し、同疾患の治療へと繋げる事である。 前年度には、OSMの中和抗体投与の投与手技や投与量の確立のために実験期間を要し、未だ十分な個体数を用いた実験ができていなかったことから、当該年度は、前年度に引き続きOSMの中和抗体による結石形成抑制効果の検討を行った。結石モデルマウスとしては、これまで同様、8週齢のマウスにGOx(80mg/kg)を連日腹腔内投与するモデルを用いた。8週齢の野生型マウスにGOxを投与するとともに、OSMの中和抗体を投与し、Glyoxylate 投与後の各ステージ(0, 3, 6 日)において、①腎結晶形成量に関する組織学的解析、②炎症性サイトカインや結石関連遺伝子に関する生化学的・分子細胞生物学的解析を行った。その結果、前年度同様、OSMの中和抗体を投与することにより、腎結晶形成量が減少し、炎症性サイトカイン、結石関連遺伝子の発現量が低下するという結果を得た。 研究期間全体を通じて、OSMは直接尿細管上皮細胞や間質線維芽細胞に作用し、結晶結合蛋白、炎症性サイトカイン、線維化マーカー等の発現を惹起することにより、尿路結石形成を促進していること、OSM中和抗体の投与により、腎結晶形成量が減少し、炎症性サイトカイン、結石関連遺伝子の発現量が低下することが明らかとなり、OSMの中和抗体投与が尿路結石形成を抑制するための新規治療となり得ると考えられた。
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Research Products
(1 results)