2020 Fiscal Year Research-status Report
腎癌におけるアミノ酸トランスポーターを標的とした新規治療標的の開発
Project/Area Number |
20K18108
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山岸 敦史 山形大学, 医学部, 助教 (70571678)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | アミノ酸トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
腎癌細胞株ACHNとACHNより作成したラパマイシン耐性ACHN株(ACHN/RR)について、メタボローム解析を行った。結果、耐性株において多くのアミノ酸が蓄積する一方、グルタミンは耐性株で低値であった。臨床検体を用いた解析では、腎癌は正常と比較しアミノ酸レベルが低い一方グルタミンレベルは高い。これは大腸癌等の他の癌腫と逆の状態にあるが、ラパマイシン耐性化すると腎癌に特徴的なアミノ酸ステータスが、他癌腫と同様のアミノ酸ステータスとなることが確認された。 網羅的RNA発現解析で親株と耐性株の発現の差異を比較したところ、LAT1と4F2の発現は耐性株で亢進していた。この差はrtPCR法でも確認された。LAT1/4F2複合体は、グルタミンを細胞外へ輸送する一方、その他のアミノ酸を細胞内に輸送するアミノ酸トランスポーター複合体で、この知見はメタボローム解析におけるアミノ酸レベルの変化を指示する結果であった。 ACHN/RRにおいて、LAT1をsiRNA法によりノックダウンした上でラパマイシンを添加し、MTS法で細胞活性を計測したところ、ラパマイシンに対する抵抗性がキャンセルされた。同様に4F2をsiRNA法によりノックダウンしたところ、ラパマイシンに対する抵抗性はキャンセルされた。 現在、LAT1阻害剤の効果、オートファジーへの効果、アポトーシスへの効果などを随時検討中である。これらの結果でLAT1阻害が腎癌治療の候補となるようであれば、マウス研究を検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
siRNAによる検討が当初の予定よりも難航し、計画が全体的にやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
難航していたsiRNAによる検討は、予想通りの結果が出ており、今後はLAT1阻害剤の効果、オートファジーへの効果、アポトーシスへの効果などを随時検討中である。これらの結果でLAT1阻害が腎癌治療の候補となるようであれば、マウス研究を検討している。
|
Causes of Carryover |
siRNA研究の段階で、実験計画時点よりも条件検討で難航し、実験を繰り返す必要があったため、消耗品の使用に多くの金額を使用した。
|