2021 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌におけるアミノ酸トランスポーターを標的とした新規治療標的の開発
Project/Area Number |
20K18108
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山岸 敦史 山形大学, 医学部, 助教 (70571678)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アミノ酸トランスポーター / 腎癌 / ラパマイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
①ヒト腎癌細胞株ACHNと長期間ラパマイシン添加培地で培養したラパマイシン抵抗ACHN株(ACHN/RR)の網羅的代謝物解析を行ったところ、多くのアミノ酸は耐性株で高値、グルタミンだけ低値であった。また、ACHN株とACHN/RR株について網羅的発現解析を行い比較したところ、ACHN/RR株でLAT1、4F2の発現が高値であった。LAT1と4F2は二量体を形成しグルタミンを細胞外へ排出、その他のアミノ酸を細胞内へ取り込むアミノ酸トランスポーターとして知られている。これらの結果から、LAT1、4F2に着目し研究を開始した。 ②LAT1、4F2が腎癌の予後と関連するか、TCGAデータベースを用いて解析したところ、淡明細胞型腎癌、乳頭状腎癌ともにLAT1、4F2高発現群の予後は不良であった。 ③複数のヒト腎癌細胞株についてLAT1、4F2の発現を見たところ、Caki2、786O、A498ではLAT1、4F2とも高発現である一方、769P株では両者とも発現は低かった。これらの細胞株についてラパマイシンの効果を見たところ、LAT1、4F2の発現が低いACHN、769P株ではラパマイシン添加により著名な細胞増殖抑制効果があったのに対し、LAT1、4F2の発現が高いCaki2、786O、A498、ACHN/RR株ではラパマイシンによる細胞増殖抑制効果は抑制的であった。 ④LAT1/4F2の発現がラパマイシン抵抗性に寄与する可能性について検討するため、siRNA法を用いてACHN/RR株のLAT1発現を低下させたが、ラパマイシンに対する抵抗性の回復は見られなかった。 ⑤これらの結果からLAT1、4F2は腎癌の予後マーカーやラパマイシン抵抗性のマーカーとなる可能性は示唆されたものの、ラパマイシン抵抗性を解除するための標的分子とはならないことが示唆された。
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