2020 Fiscal Year Research-status Report
がん増殖関連蛋白GGCTを標的とした腎がんに対する新規治療の開発
Project/Area Number |
20K18111
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
窪田 成寿 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80759118)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | γ-グルタミルシクロトランスフェラーゼ / がん増殖関連タンパク / 新規治療標的 / 腎がん |
Outline of Annual Research Achievements |
(背景と目的)γ-グルタミルシクロトランスフェラーゼ(GGCT)は、当講座において尿路上皮がんの治療標的の探索を目的に施行したプロテオーム解析にて同定されたがん増殖関連タンパクで、多臓器のがんにおいて高発現である一方、正常組織での発現は低いことが示されている。そのため、GGCT阻害によりがん特異的な増殖抑制効果が得られ、有望な新規治療標的と考えられる。腎がんにおいても腫瘍組織のGGCT高発現は予後不良と相関することが示されているが、GGCT標的治療の有効性は明らかにされていない。本研究では、腎がんに対するGGCT標的治療の有効性・安全性を検証し、抗腫瘍メカニズムの解明と治療効果を予測しうるバイオマーカーを同定することで、GGCTを標的とした新規腎がん治療を開発することを目的とした。 (方法)令和2-3年度は、(1)GGCT酵素活性を阻害する低分子化合物pro-GAを用いた腎がん細胞株に対する抗腫瘍効果の検討、(2)トランスクリプトームデータを用いたGGCT阻害時の抗腫瘍メカニズムの解明と(3)GGCT阻害剤の効果予測バイオマーカーの同定を計画している。 (結果)7種の腎がん細胞株(ACHN、 NC65、 Caki-1、 Caki-2、 SW839、 KMRC-1、 VMCW-RCW)に対し、pro-GAの細胞増殖抑制効果をWST-8 assayを用いて検討した。いずれの細胞株も濃度依存性に抗腫瘍効果がみられた。IC50値により感受性を比較した結果、高感受性株;ACHN、SW839および低感受性株;Caki -1/2に分類が可能であった。上記結果と過去に行った7種の腎がん細胞株のトランスクリプトームデータを用いて、低-高感受性株間での遺伝子発現差異の解析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2-3年度は、(1)GGCT酵素活性を阻害する低分子化合物pro-GAを用いた腎がん細胞株に対する抗腫瘍効果の検討、(2)トランスクリプトームデータを用いたGGCT阻害時の抗腫瘍メカニズムの解明と(3)GGCT阻害剤の効果予測バイオマーカーの同定を計画していた。(1)に関してはpro-GAに対する腎がん細胞株間の感受性を比較検討し、高感受性および低感受性を示す細胞株群を分類することができ、令和2年度内に(2)と(3)に 着手することができたが、具体的成果を得るまでには至っておらず、当初計画よりも若干の遅延が生じているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は当初予定していたGGCT阻害時の抗腫瘍メカニズムの解明とGGCT阻害剤の効果予測バイオマーカーの同定に関する検討を進めるとともに、担がんマウスを用いたGGCT標的治療の抗腫瘍効果と安全性の検討に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況の若干の遅延により、次年度使用額が生じた。令和3年度に予定している研究に関する直接経費として使用する予定である。
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