2020 Fiscal Year Research-status Report
癌ゲノム・タンパク統合解析による腎癌PD-L1発現機構解明と治療選択マーカー確立
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20K18113
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
洪 陽子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70824754)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腎癌 / PD-L1 / バイオマーカー / 次世代シークエンス / 免疫組織化学染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本学附属病院において手術を行った腎癌症例300例のホルマリン固定パラフィン包埋標本より作製した組織マイクロアレイに対し、PD-L1 IHC 28-8 pharmDx「ダコ」、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」、VENTANA OptiView PD-L1(SP142)、VENTANA PD-L1(SP263) Rabbit Monoclonal Primary Antibodyの4つのPD-L1免疫組織化学染色検査アッセイを実施した。それぞれの検査アッセイ独自の評価基準でPD-L1発現を評価したところ、28-8とSP142のアッセイではPD-L1陽性率は非常に低く、4つのアッセイ間の一致度もそれほど高くはなかった。また、評価基準を統一して評価した場合、PD-L1陽性率は、22C3で15.7%、28-8で17.5%、SP142で2.8%、SP263で16.1%であった。アッセイ間の一致度については、28-8と22C3、28-8とSP263は適度に一致していたが、他のアッセイ間の一致性は高くなかった。腎癌組織における免疫組織化学染色によるPD-L1発現は用いるアッセイにより相違があることが分かった。 今後、手術の臨床検体の解析が可能な同一症例に対し、順次、次世代シークエンス(RNAシークエンスおよび全エクソンシークエンス)を行い、バイオインフォマティクス解析により特にPD-L1構造の解析を行い、免疫組織化学染色によるPD-L1発現の差が生じる要因について解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず、免疫組織化学染色におけるPD-L1発現の評価を行い、用いるアッセイのよって得られる結果が異なることが分かった。PD-L1発現の評価については、1症例3コアずつ行ったが、コアに占める腫瘍領域が症例により様々であった。面積による加重平均を算出する必要があったが、画像解析ソフトウェアへの腫瘍領域の設定がマニュアルであったため、当初、想定したよりも評価に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンス解析を行い、免疫組織化学染色によるPD-L1発現の差が生じる原因の解明を行う。腎癌・正常腎組織からのRNAおよび腎癌・血液からのゲノムDNAに対し、それぞれRNAシークエンス、全エクソンシークエンスを行う。これらシークエンス結果よりPD-L1遺伝子発現に加え、PD-L1構造異常やバリアントなどの解析を行い、免疫組織化学染色によるPD-L1発現の差が生じる要因について検討する。さらには、臨床情報とも統合的に検討を行い、最も最適なPD-L1発現評価方法を確立し、免疫チェックポイント阻害剤の治療効果予測バイオマーカーとして確立することを目指す。
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
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Research Products
(1 results)