2021 Fiscal Year Annual Research Report
癌ゲノム・タンパク統合解析による腎癌PD-L1発現機構解明と治療選択マーカー確立
Project/Area Number |
20K18113
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
洪 陽子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70824754)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腎癌 / PD-L1 / 免疫組織化学染色検査 / 次世代シークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は腎癌におけるPD-L1発現機構を解明することを目的とした研究であり、前年度腎癌組織300例からなる組織マイクロアレイを用いた4種類の抗PD-L1抗体(クローン名:22C3、28-8、DP142、SP263)を用いた免疫組織化学染色検査を行いPD-L1の発現が、抗体間による発現差があり、異なる臨床的意義を有することを確認した。このうち凍結組織が確保できた112例においてRNAシークエンス、および113例において全エクソンシークエンスを行った。マッピングデータを解析することにより、PD-L1構造異常の検出を試みたが、構造異常に特異的とされるエクソン7の欠損は認められなかった。この他、抗体の結合部位に影響を及ぼすようなPD-L1の構造異常やバリアントも検出することはできなかった。PD-L1遺伝子発現を基準とした解析を行うため、RNAシークエンスを行った112例での4つのPD-L1免疫組織化学染色検査によるPD-L1タンパク発現を再評価したところ、評価基準を統一した場合、22C3 17.0%、28-8 21.4%、DP142 3.6%、SP263 15.2%であり、300例における結果と同様の傾向であった。PD-L1 mRNA発現と各アッセイによるPD-L1タンパク発現との関連を検討したが相関は認めなかった。臨床情報を用いたデータ解析を行ったところ、PD-L1 mRNA発現と予後の相関は認めず、PD-L1免疫組織化学染色検査のうち、22C3、28-8、SP263によるPD-L1タンパク発現と予後とは有意な相関を認めた。
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