2020 Fiscal Year Research-status Report
A new strategy for preventive treatment of recurrent / refractory cystitis with lactic acid bacteria biosurfactant
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20K18117
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岩田 健宏 岡山大学, 大学病院, 助教 (00803082)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオサーファクタント / 尿路感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオフィルムの形成モデルとして使用してきたフローセルシステム「bio観る」のガラス管中に大腸菌株(E.coli: OE-89)と(E.coli: OE-128)を添付して3日間人工尿を還流した。還流したガラス管内を、共焦点レーザー走査型顕微鏡で観察したところ、E.coli: OE-128群に比べて、E.coli: OE-89群でバイオフィルム形成能が高い可能性が示唆された。 続いて、大腸菌株(E.coli: OE-89)単独群と大腸菌株に乳酸菌株(Lactobacillus crispatus: GAI 98322)を添付した群とを同様に「bio観る」のガラス管中に添付し、3日間人工尿を還流し、共焦点レーザー走査型顕微鏡で観察したところ、乳酸菌を添付した群で大腸菌単独群に比べてパイオフィルム形成抑制効果を確認できた。 乳酸菌バイオサーファクタントのバイオフィルム形成阻害効果を確認するため、大腸菌株(E.coli: ATCC 25922, ATCC35218)の培養を行った。その結果、乳酸菌上清を添付した群で阻止円が検出できなかった。そのため、尿路感染症の起炎菌として多いその他の菌種に変更し、同様の実験を行った。肺炎桿菌(K.pneumoniae: 166、407)でも、有用な結果が得られなかったが、緑膿菌(P.aeruginosa: PAO1)を用いたところ、乳酸菌上清を添付した群で阻止円を確認することができた。 そのため、乳酸菌上清よりバイオサーファクタントを検出するため、蛋白の抽出を行った。乳酸菌培養上清に濃度(30%~90%)を調整しながら硫酸アンモニウム沈殿を添加。その後、透析を行って蛋白の精製を行った。今後は精製した蛋白を再度溶解して添付することで、発育阻止効果が得られるかどうかを確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膀胱炎の原因菌として最も頻度の高いE. coliについてのバイオフィルム形成阻害効果の観察は可能であったが、乳酸菌バイオサーファクタントで生育阻害効果が得られなかったため、PHを調整などが必要となった。また、菌種の変更を行い再度、同様の実験を行う必要があったため、追加での時間が必要であった。 緑膿菌では発育阻止効果が認められたため、抽出した蛋白でも同様に発育阻止効果が得られるのか確認を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は乳酸菌バイオサーファクタントを抽出するため、硫酸アンモニウムを添加して蛋白を析出させ、PHなどの因子の調整を行い、生育阻害効果とバイオフィルム形成阻害効果を発揮することを確認する。 さらに抽出された蛋白の中で活性の高い物質の同定を行う。 また、P. aeruginosa PAO1以外の株、効果が見られなかったE. coli株以外の株で発育阻止効果が認められるかスクリーニングを行う。 並行して、これまでの乳酸菌投与法を再考し、より有効な投与法を検討する。
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Causes of Carryover |
実験の遅れのため、蛋白析出、抽出などの工程が行われなかったため次年度の実験計画に追加させていただく。 今後は乳酸菌バイオサーファクタントを抽出するため、硫酸アンモニウムを添加して蛋白を析出させ、PHなどの因子の調整を行い、生育阻害効果とバイオフィルム形成阻害効果を発揮することを確認する。 さらに抽出された蛋白の中で活性の高い物質の同定を行う。 また、P. aeruginosa PAO1以外の株、効果が見られなかったE. coli株以外の株で発育阻止効果が認められるかスクリーニングを行う。
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