2021 Fiscal Year Research-status Report
老齢マウスの脳幹橋バリントン核の機能解析と加齢性下部尿路機能障害の発生機序解明
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20K18121
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
伊藤 悠城 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (90766619)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バリントン核 / マウス / 加齢 / 排尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、『老齢マウスを用いて、排尿支配の神経核であるバリントン核の機能解析を行い、加齢に伴う下部尿路機能障害の発生機序を明らかとし、その先に新たな創薬ターゲット探索ならびに新規治療方法確立を目指す』である。 2021年度は、繁殖体制が整ったCRH-ires-Creノックインマウスを用いて、Cre依存性アデノ随伴ウイルス(pAAV-EF1a-double floxed-hChR2(H134R)-mCherry-WPRE-HGHpA および AAV2-hSyn-DIO-hM4Di-mcherry)(Addgene社)の至適濃度の調整を行った。結果、3-5倍希釈でも、標的である橋バリントン核CRH陽性ニューロンにおける選択的なベクター導入を確認することが可能であった。この希釈により、ベクターの非特異的導入の軽減が予想された。 今回使用したAAV2種のうち、hM4DiのAAV2は一部にnon specificの導入が見られており、今後AAV9のhM4Diのベクターでより特異的な導入が可能であるか検討予定である。 また無麻酔マウスのin vivo膀胱内圧測定実験系の確立に向けて、準備を行っている。具体的には、マウスをメタボリックケージに入れ、環境適応期間の2-3時間を経過したのち、ケージ下に定性ろ紙Whatmanを配置し、マウスのvoiding spot assay(VSA)を2時間行う。実験後、ろ紙を回収し、UV下でマウス排尿の位置および量を定量化し解析を行う予定であり、予備実験を繰り返している。若齢および老齢マウスのバリントン核CRH陽性ニューロンを、hM4DiのリガンドであるクロザピンNオキシドの腹腔内投与で抑制することで、VSAの変化を解析する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本試験における老齢マウスの定義を当初2年程度としていたが、2年飼育するまでに絶命するケースもあり、年齢基準の再設定の必要性に迫られている。 またコロナの状況による大学学内での行動制限もある。 そのため一部の実験に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
老齢の定義を2年齢から少し下げることで、今後実験強度が上がることを期待している。飼育の簡易化に加えて、加齢に伴う膀胱機能障害を引き起こす、様々な交絡因子の縮小も期待している。つまり多岐にわたる老齢マウスの表現型の幅が少しでも絞られ、我々の解析がよりシンプルになることを期待している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため、大学内行動の制限があり、実験が予定より遅延していることが原因である。 次年度の使用計画としては、、現在、橋バリントン核の神経活動測定系を新たに確立する予定であり、そのために必要な器材購入を予定している。またコロナ後の対面式国際学会再開が本格的となるため、国際学会参加(国際禁制学会ICS年次総会 2022年9月ウィーン)への参加も検討している。
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