2022 Fiscal Year Research-status Report
老齢マウスの脳幹橋バリントン核の機能解析と加齢性下部尿路機能障害の発生機序解明
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20K18121
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
伊藤 悠城 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90766619)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バリントン核 / マウス / 加齢 / 排尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、『老齢マウスを用いて、排尿支配の神経核であるバリントン核の機能解析を行い、加齢に伴う下部尿路機能障害の発生機序を明らかとし、その先に新たな創薬ターゲット探索ならびに新規治療方法確立を目指す』である。 2022年度は、24ヶ月齢老齢CRH-ires-Creノックインマウスの橋排尿中枢であるバリントン核に、Cre依存性アデノ随伴ウイルス(pAAV-EF1a-double floxed-hChR2(H134R)-mCherry-WPRE-HGHpA を注入した。さらに、光遺伝学的にウレタン麻酔下でバリントン核を刺激することに成功した。 膀胱内圧測定の結果、老齢マウスの最大排尿圧が10週齢の若齢BL6マウスと比較して優位に低いことが分かった。また基礎圧が高く、残尿が有意に多かった。バリントン核への光遺伝学的刺激に対しては、老齢群で反応率が高く、さらに反応時の膀胱内圧上昇も若齢群より高いという興味深い結果を得ることができた。この結果は、当初我々が想定していたものと反対のものであった。 その他、無麻酔マウスのin vivo膀胱内圧測定実験系の確立に向けて、準備を行っていたが、排尿スポットを正確にとらえることを可能にしたろ紙の選別に成功し、また測定キットも一からデザインしてよりマウスに低侵襲のケージを確立することができた。現在、同ケージを使用して、マウスのvoiding spot assay(VSA)を4時間/クールで行っており、老齢におけるphenotypeも今後の解析で明らかになると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本試験における老齢マウスの定義を当初2年程度としていたが、2年飼育するまでに絶命するケースもあり、年齢基準の再設定の必要性に迫られていた。しかしながら、動物実験手技が洗練されてきたことで、24ヶ月齢の老齢マウスを用いた実験が可能であることが確認でした。これまでコロナの関係で遅延していた実験計画であったが、2022年度でかなり挽回した印象である。
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Strategy for Future Research Activity |
老齢のマウスの測定結果が出てきたことで新たな課題も表出してきた。なかでも膀胱内圧測定では排尿を伴わない異常な膀胱収縮の内圧上昇が非常に強く、そのため正常排尿と排尿を伴わない異常な膀胱収縮との鑑別が極めて困難であることが分かってきた。外尿道括約筋が協調運動を示したかどうかで鑑別はなんとか可能であるが、老齢ならではの困難にも直面した昨年度であった。今後実験数を増やしていく。
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Causes of Carryover |
世界的な半導体不足が要因と思われる、予定購入の実験機器の調達に時間を要したため、次年度使用額が生じました。具体的には神経活動測定系および電気生理学的実験機器を指します。 老齢マウスのVSAによる排尿行動評価および、薬理遺伝学的にバリントン核を抑制した場合の膀胱機能評価を行う予定です。さらにバリントン核における加齢に伴う変化を神経活動測定することで明らかにすることができればと思っております。
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