2023 Fiscal Year Annual Research Report
老齢マウスの脳幹橋バリントン核の機能解析と加齢性下部尿路機能障害の発生機序解明
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20K18121
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
伊藤 悠城 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90766619)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バリントン核 / マウス / 加齢 / 下部尿路機能 / 排尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、『老齢マウスを用いて、排尿支配の神経核であるバリントン核の機能解析を行い、加齢に伴う下部尿路機能障害の発生機序を明らかとし、その先に新たな創薬ターゲット探索ならびに新規治療方法確立を目指す』である。 若齢および24ヶ月齢老齢CRH-ires-Creノックインマウスの橋排尿中枢であるバリントン核に、Cre依存性アデノ随伴ウイルス(pAAV-EF1a-double floxed-hChR2(H134R)-mCherry-WPRE-HGHpA) を注入し、ウレタン麻酔下でバリントン核を光遺伝学的に刺激した。膀胱内圧測定の結果、バリントン核への光遺伝学的刺激に対しては、老齢群の反応率が有意に高かった。この結果は、当初我々が想定していたものと反対のものであった。 次に、無麻酔マウスの排尿行動を測定するために、排尿スポットを正確にとらえることを可能にしたvoiding spot assay(VSA)測定系を樹立した。若齢および24ヶ月齢老齢CRH-ires-Creノックインマウスの橋排尿中枢であるバリントン核に、Cre依存性アデノ随伴ウイルス(AAV5-mCherry-FLEX-DTA)を注入し、バリントン核CRH陽性ニューロンの細胞死を起こした上で、VSAの変化を検討した。結果、老齢群では尿閉状態となり、若齢群では排尿パターンの変化のみで尿閉状態には至らなかった。 以上の結果から、老齢マウスの排尿は、バリントン核CRH陽性ニューロンにより強く依存している可能性が考えられ、これらの事象が加齢に伴う下部尿路症状の原因である可能性も考えられた。
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