2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel immunotherapy for bladder cancer with SORL1 signaling and tumor immune microenvironment
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20K18126
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
内海 孝信 東邦大学, 医学部, 助教 (80594275)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / SORL1 / PD-L1 / Cdc42 |
Outline of Annual Research Achievements |
SORL1をknock-outした膀胱癌細胞ではcontrol細胞と比較して、有意に遊走能・浸潤能が上昇することを確認し、SORL1をknock-outした細胞ではcontrol細胞と比較して、細胞の糸状仮足の形成を引き起こすCdc42およびリン酸化Cdc42の発現が上昇していることを確認した。Cdc42シグナルとともに、SORL1をknock-outした細胞ではcontrol細胞と比較して、膜型MMP(MT1-MMP)が上昇していることも確認し、Cdc2シグナルとMT1-MMPシグナルが強調してがん浸潤突起(invadopodia)を形成していることが推察された。SORL1-Cdc42シグナルを阻害するCdc42阻害剤を用いると、SORL1をknock-outした膀胱癌細胞の遊走能・浸潤能を有意に抑制することを確認した。SORL1を発現する膀胱癌細胞と比較して、SORL1を発現しない膀胱癌細胞ではCdc42(Cdc42-N-WASP-Apr2/3 complex)シグナルを標的としたを阻害することで、invadopodia形成抑制が起こり遊走能・浸潤能が低下して治療効果が現れると考えられた。 SORL1をknock-outした細胞においてもcontrol細胞においてもPD-L1が発現していることをウェスタンブロット法で確認している。また、control細胞とSORL1knock-out細胞にインターフェロンγ(IFNγ)刺激を加えた後に細胞膜表面のPD-L1の発現をフローサイトメトリー法で確認しているので、免疫応答性のあるC57BL/6マウスを評価モデルとした抗PD-1/PD-L1抗体療法と先述のCdc42阻害剤との複合免疫療法の治療効果も検証可能と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複合免疫療法の一つとして、Cdc42阻害剤と抗PD-1/PD-L1抗体療法が候補になり得るin vitroの実験結果は出ているが、免疫応答性のあるC57BL/6マウスを用いたin vivoの研究へは移行できていない。また、Cdc42阻害剤により有意に遊走能・浸潤能が低下することは確認しているが、実際の細胞骨格再構成や下流シグナルの変化の観察を行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
膀胱癌におけるSORL1の機能解析から、SORL1は遊走能・浸潤能を制御している腫瘍抑制遺伝子であると考えられる。Cdc42阻害剤により、遊走能・浸潤能が低下することは確認できているが、今後は下流シグナルの解析と細胞骨格再構成の観察を予定している。 具体的には、Cdc42の下流にあるN-WASPやApr2/3 complexの発現量を確認する。既にCdc42阻害剤の効果は確認できているが、SORL1 knock-out細胞とcontrol細胞を用いて、より下流のN-WASP-Apr2/3 complexシグナルを標的としたN-WASP阻害剤(Wiskostatin)やApr2/3 complex阻害剤(CK-666)を用いて遊走能と浸潤能が最も効果的に抑制される標的分子と阻害剤の組み合わせをin vitroで探索する予定である。 N-WASPやApr2/3の基本的な機能解析で治療効果も確認した後に、治療薬によるinvadopodia形成の抑制(蛍光細胞免疫染色)やMMP分泌の低下(ゼラチンザイモグラフィー)を確認する予定である。N-WASPやApr2/3の阻害剤はSORL1 knock-out細胞で治療効果がより大きいと想定しているが、ELISA法で細胞培養液中の可溶型SORL1の測定を行いSORL1のネガティブ・バイオマーカーとしての可能性も検証する。 また、SORL1 knock-out細胞を用いて免疫応答性のあるC57BL/6マウスを評価モデルとした抗PD-1/PD-L1抗体療法とCdc42阻害剤との複合免疫療法の治療効果も検証する。in vitroでN-WASPやApr2/3の阻害剤も治療効果が示されれば、同様の複合免疫療法の候補治療薬として検証する。
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Causes of Carryover |
in vitroの解析に使用する実験器具や抗体はすでに所有しているものと共通なものもあったため効率的に実験遂行ができた。また、本年度は蛍光細胞免疫染色を購入して、観察実験を進行している。次年度以降はin vivoの実験準備も予定しているため、使用する金額は令和3年度より高額となると想定している。
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