2021 Fiscal Year Research-status Report
性分化疾患の性腺の免疫組織染色と遺伝子解析を用いた新規評価法の開発
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20K18129
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Research Institution | Osama Woman's and Children's Hospital |
Principal Investigator |
松山 聡子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 骨発育疾患研究部門, 客員研究員 (70800431)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性分化疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に沿い、特徴的な性腺組織や臨床的経過をもつDSD症例を抽出した。近年の精巣内精子採取術や顕微授精といった生殖補助技術の進歩は著しく、絶対的不妊と考えられ ていた性分化疾患(differences/disorders of sex development:DSD)症例においても父性が獲得できている症例があることを明らかにした。DSD 男性の成人期の精巣組織は、生殖細胞を認めない場合がほとんどであった。一方、DSD 症例の乳児期性腺を対象とした検討では50%で生殖細胞を認めており、成長の過程で生殖細胞が消失したと考えた。また、異常な性腺をもつ場合も90%で思春期が発来しており、生殖細胞を維持できている可能性があると推測した。DSD 男性症例の乳児期性腺を対象とした検討では正常にみえるような精巣でも80%で未熟な生殖細胞を認めており、さらなる原因検索のためには、性腺の形成過程に焦 点をあてた研究が必要だと考えた。しかしながら、倫理的観点と、性腺の発達は妊娠初期(在胎5〜8 週)である点から、ヒト検体での研究が難しい。この過程の研究には動物モデルが不可欠である。そのため、申請者はDeFalco博士の研究室での研究を開始した。 小児泌尿器科学会のシンポジウムで、性分化疾患について発表をし、分かりやすく研究成果を発信するように努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3年目に計画していた協力研究施設での研究を2年目時点で開始できている。
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Strategy for Future Research Activity |
De Falco 研究室では、マクロファージは、胎仔期の精巣形成ならびに成体期の精子形成に不可欠であることを示し、生殖領域と免疫領域の融合した分野を発見した。成体マウスにおいて、精巣マクロファージがライディッヒ細胞のテストステロン産生に影響を与えることが示唆されているが(De Falco, et al. Cell Reports,2015)、マクロファージがライディッヒ細胞を制御するメカニズムは充分に理解されていない。性腺におけるマクロファージの役割を理解することで、性分化疾患のメカニズムの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
海外研究室に活動の場を移し、環境を整えていたため。次年度の研究に費用を持ち越した。
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Research Products
(3 results)