2022 Fiscal Year Research-status Report
特異的組織標的ペプチドを用いた前立腺癌新規治療法の開発
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20K18136
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
和田 晃典 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90750539)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 組織特異的標的 / ペプチド治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前の研究で前立腺癌細胞株であるLNCaPを用いて、前立腺癌細胞に特異的に結合するペプチド配列を同定した。同定したペプチドを前立腺癌患者から採取した前立腺癌組織と結合させ、ヒト前立腺癌組織及び前立腺正常組織への結合の評価を行っている。同定した前立腺癌組織標的ペプチドにビオチンを付加した標的ペプチドを用いて異なる前立腺癌細胞株及びヒト臨床検体と反応させDAB発色及び蛍光免疫染色を行うことで、前立腺正常組織と前立腺癌組織への結合程度の評価を行い、前立腺癌組織への特異性の検証を行っている。現在、ビオチン付加標的ペプチドのみでは不十分であったため、蛍光蛋白を付加した標的ペプチドを作製し、染色を行う準備を行っている。本研究で実際にヒト検体に先に同定した組織標的ペプチドが結合することが確認できれば、実際のヒトで発生した様々な種類の前立腺癌に対して同定した標的ペプチドが結合することが可能であることが証明される。さらに、今後前立腺の正常組織及び腎の正常組織とも同様に結合させ評価することで、実際のヒト臨床検体においても前立腺癌組織にのみ特異的に結合されるか判別することが可能である。ヒト臨床検体でも前立腺癌組織に特異的に結合することが確認できれば、毒性の検証は必要であるが、先に同定したペプチドは臨床応用できる可能性が高いと考えられる。上記が確認できれば前立腺癌組織に選択的に薬剤を輸送するシステムの構築が可能となり、同ぺプチドに治療ペプチドやsiRNA、miRNAなどの核酸を結合させ直接の担体として用いたり、ウイルスベクターやリポソームなどの担体と併用して標的ペプチドとして用いたり幅広い応用が期待でき、今までにない新たな治療方法が開発できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
組織染色における陰性対象、陽性対象の設定および染色条件の設定に時間を要したこと及びビオチン付加標的ペプチドの陽性判定の評価が難しく、新たに蛍光蛋白付加ペプチドを作製し、細胞株を用いてあらためて評価の再確認を準備しており、現在遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞株での結合実験を行うとともに、引き続きヒト臨床検体を用いて標的ペプチドとの結合実験を行う。前立腺癌組織への特異性がある程度検証できれば、細胞株を用いた標的ペプチドの毒性の検証(標的ペプチドを前立腺癌細胞株であるLNCaP細胞およびPC3細胞に投与し反応させた後に、RNAを抽出しマイクロアレイを行う。DNA発現解析を行うことで、標的ペプチド自体がシグナル伝達物質となっていないか評価し、標的ペプチドとして利用可能か検証を行う)を並行して施行しようと考えている。
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Causes of Carryover |
ヒト臨床検体を用いた染色実験の、染色条件の設定がうまくいかず、新たに蛍光標識を用いた染色の施行を検討している。また、コロナ禍による実験の中断等もあり、実験の進行が遅れている状況である。標的ペプチドの蛍光標識にかかる作成やマイクロアレイなど高額な実験が執行できておらず残額が生じた。治療ペプチドや蛍光標識ペプチド作成、RNAマイクロアレイなどに残額を使用する予定である。
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