2020 Fiscal Year Research-status Report
生体二光子励起イメージングによる膀胱癌および腫瘍微小環境の時空間的解析
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20K18137
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐野 剛視 京都大学, 医学研究科, 助教 (60866309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / 生体イメージング / 二光子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生体内の現象を顕微鏡でリアルタイムに観察する「生体イメージング」を用いた、膀胱癌研究のための実験モデルを構築することである。具体的には、膀胱癌モデルマウスにFRETバイオセンサーや蛍光レポータータンパクを発現させ、二光子顕微鏡で生体イメージングする。そして、膀胱癌に関する多岐に亘る現象を生体内で時空間的に観察・評価する。 2020年度の研究計画は構築済みの膀胱癌モデルマウスで膀胱癌の生着・進展を生体イメージングし、膀胱癌の生体イメージング法を確立する。筋層浸潤性膀胱癌ではMAPKシグナル伝達経路を正に制御するさまざまな遺伝子変化が70%以上にみられることが分かっており(Robertson AG, Cell.2017)、MAPKであるERKの活性をモニターするFRETバイオセンサーを発現するヌードマウスを用いる。このマウスの膀胱に、同じERKバイオセンサーと蛍光タンパクRFPを発現させた膀胱癌株化細胞を投与し、生着・進展の過程を二光子顕微鏡で観察する。観察のタイミングを最適化し、6時間以上の長時間タイムラプスで、癌組織(RFP陽性)や周囲組織におけるERK活性を細胞ごとに測定し、それを定量解析する。腫瘍の生着・進展において癌組織および周囲組織のERKが変化する法則を記述できることを目標とする。 現時点で、二光子顕微鏡を用いてヌードマウス生体内の膀胱を安定的に長時間観察する方法を確立した。さらに、レンチウイルスを用いた遺伝子導入法にて、ERKバイオセンサーと蛍光タンパクRFPを発現させたマウス膀胱癌株化細胞(MB49)を樹立した。さらに樹立した同MB48を膀胱内に注入することで構築した、同所性膀胱癌マウスモデルを二光子顕微鏡にて観察する方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で、二光子顕微鏡を用いてヌードマウス生体内の膀胱を安定的に長時間観察する方法を確立した。さらに、レンチウイルスを用いた遺伝子導入法にて、ERKバイオセンサーと蛍光タンパクRFPを発現させたマウス膀胱癌株化細胞(MB49)を樹立した。さらに樹立した同MB48を膀胱内注入し、同所性膀胱癌マウスモデルを構築し、二光子顕微鏡にて観察する方法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度においては、2020年度に樹立した同所性膀胱癌マウスモデルにおいて、生着した腫瘍を生体イメージングし、癌組織、間質細胞、免疫細胞などの動態を同時に観察する。さらに、FRETバイオセンサー発現マウスと遺伝子改変膀胱癌モデルマウスを交配し、FRETバイオセンサー発現膀胱癌モデルマウスを作成し、発癌過程を生体イメージングし同様に観察する。細胞・組織形態で癌組織と周囲組織が識別できると想定され、癌組織や周囲組織のERK活性を細胞単位で評価し、その変化を定量解析する。発癌・進展におけるERK活性の時空間的変化の法則を記述することをエンドポイントとする。また免疫細胞と腫瘍細胞の相互作用と局所のERK活性との関連を解析する。
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