2021 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌特異的エクソソームタンパクによる癌微小環境調節機序の解明と診断キット開発
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20K18140
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨山 栄輔 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40845244)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / エクソソーム / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
膀胱癌の新規治療標的およびバイオマーカー探索を目的とし、膀胱癌患者の尿中および癌組織分泌エクソソームを用いたプロテオミクスを行い、膀胱癌と健常者 のみならず良性疾患による血尿や膀胱炎から膀胱癌を判定可能な膀胱癌特異的尿中エクソソームタンパクEphA2を同定した。
膀胱癌細胞株においてEphA2のノックダウンを行ったところ、増殖能、遊走能、浸潤能がいずれも抑制され、EphA2の膀胱癌における癌促進的な機能が明らかとなった。続いて、EphA2高発現膀胱癌細胞株(5637細胞株)や、EphA2低発現であるHEK293細胞株にEphA2を強制発現させたEphA2強制発現HEK293細胞株は、その培養上清から回収したエクソソームにもEphA2が高発現していることを確認した。これらのEphA2高発現エクソソームを膀胱癌細胞株に添加したところ、浸潤能、遊走能が促進された。一方、CRISPR/Cas9により作成したEphA2ノックアウト5637細胞株や、HEK293細胞株から回収したエクソソーム(EphA2低発現エクソソーム)では膀胱癌に対する浸潤能、遊走能の促進効果は確認されなかった。以上により、エクソソームEphA2は膀胱癌の浸潤、遊走を促進する働きを持つことが確認され、治療ターゲットとなりうることを見出した。
今後は引き続き、膀胱癌バイオマーカーとしての尿中エクソソームEphA2の臨床応用を目指し、簡便な測定系の開発と多検体での膀胱癌診断能の評価を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までは尿中エクソソームEphA2の膀胱癌バイオマーカーとしての同定と、EphA2およびエクソソームEphA2が膀胱癌の表現型に与える影響の解析を行った。
本年度は引き続き、膀胱癌バイオマーカーとしての尿中エクソソームEphA2の臨床応用を目指し、簡便な測定系の開発と多検体での膀胱癌診断能の評価を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
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