2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of substances causing skin pigmentation in end stage renal failure and development of removal column
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20K18141
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
丸山 雄樹 岡山大学, 大学病院, 医員 (00803850)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腎移植 / 末期腎不全 / 色素沈着 |
Outline of Annual Research Achievements |
未だ増加傾向にある末期腎不全患者において必ず生じる合併症である皮膚症状(色素沈着・乾燥・痒み)は患者のQoLに重大な影響を与える病態である。生体腎移植により色素沈着は速やかな改善を認める事から、原因として一般的な色素沈着物質・メラニンではなく、透析では除去できない尿毒症物質が想定されるが、原因物質を特定した報告はない。透析患者が腎移植件数を圧倒的に上回る現在において、治療法の開発は喫緊の課題であり、本研究では末期腎不全における皮膚色素沈着原因物質をLC-MSプラットフォームを用いた包括的メタボローム解析を用いて網羅的に同定し、吸着カラムの開発を目指す。 本年度の研究では、腎移植レシピエントの協力を得て皮膚明度の術前・術後推移の分光測定器を用いた測定(顔面、上腕、下腿、下腹部)および、腎移植前後の皮膚組織の採取を行った。腎移植レシピエント28名における術度1か月での皮膚明度は術前と比較し顔面、上腕、下腿で有意な上昇を認めた。腹部においても統計的有意差には達さないものの、明度が上昇する傾向を認めた。これまで、腎移植前後皮膚明度を数値として比較した報告はなく、これによって生体腎移植による皮膚明度の上昇を視覚的にだけではなく、数値化し新たに証明することができた。皮膚検体の採取も進んでおり、次年度は腎移植前後の皮膚組織を包括的メタボローム解析を実施することにより皮膚色素沈着原因物質を同定し、吸着体の作成を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
包括的メタボローム解析には腎移植前後の皮膚検体の採取が必須であるが、COVID-19の影響で腎移植を中断していた期間があった。そのため解析を行うに足る皮膚検体採取に遅延がでたが、現在は腎移植術の再開および検体の収集が進んでおり、次年度には計画通り解析を行える予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚検体を用いてメタボローム解析を行い、皮膚色素沈着の原因物質を同定する。これは網羅的な解析であり、同定される代謝産物候補は複数と想定できる。そのため、さらに血液/尿検体を用いたLC-MS解析や、皮膚組織の免疫染色およびイメージングを行い、真に色素沈着に影響を及ぼす物質を同定する。その後、より結合しやすい化合物を見つけセルロース担体に結合させることで、吸着体を作成する。
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Causes of Carryover |
腎移植前後の皮膚組織採取に遅延が出たため、包括的メタボローム解析を年度内に行う事ができず、未使用額が生じた。今年度未使用額を次年度分にあてがい、引き続き研究目的の達成に向け執行する。
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