2021 Fiscal Year Research-status Report
去勢抵抗性前立腺がんに対するアセチル化HMGB1を標的とした新規診断治療法の確立
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20K18142
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
後藤 景介 広島大学, 病院(医), 助教 (30784251)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
*前立腺周囲脂肪組織中におけるHMGB1の発現解析 HMGB1の分泌と前立腺癌組織との関連を調べるにあたり、前立腺周囲脂肪組織と前立腺癌組織との相互作用を仮定した。 [1] 前立腺周囲脂肪組織と前立腺癌悪性度との関連 前立腺周囲脂肪量を定量化する手段としてMRI画像を用いて前立腺前面の脂肪組織量を計測した。これをパラメーターとして前立腺癌組織の悪性度との関連を解析したところ、脂肪量と悪性度(グリソンスコア)との間に有意な関連を認めた。このことから前立腺周囲脂肪組織内の分子が前立腺癌組織へ何らかの影響をもたらしていることが示唆された。 [2] 前立腺周囲脂肪組織中のHMGB1と前立腺癌悪性度との関連 前立腺全摘除術において、術中に摘除される前立腺前面の脂肪組織を回収、RNAを抽出しHMGB1の発現をqPCRで解析した。グリソンスコアの低い前立腺癌と高い前立腺癌とでHMGB1の発現を比較したところ、高悪性度前立腺癌において有意にHMGB1が高発現していることがわかった。このことから前立腺周囲からのHMGB1が前立腺癌の悪性化に関わっていることが示唆された。さらに脂肪組織中において発現の亢進する他の分子群について検討を広げたところ、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーも高発現することがわかった。特に内分泌型FGFとして知られるFGF19、FGF21、FGF23がいずれも高発現することがわかった。このことも脂肪組織から分泌される分子と前立腺癌の関連を裏付ける知見であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに実行したHMGB1の発現と前立腺癌の生物学的な挙動の研究からHMGB1が前立腺癌促進的に作用すると考えられていた。これに続き、前立腺周囲組織においてHMGB1が発現していることを突き止め、これが前立腺癌悪性度と関連するという知見が得られた。細胞外へ分泌されるHMGB1が前立腺癌促進的に作用することを示唆する結果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前立腺周囲脂肪組織を回収する作業は手術件数に依存するため、一定症例数を回収するために引き続き作業を啓蔵する必要がある。HMGB1が前立腺癌の増殖や浸潤に関連する細胞実験結果が得られているが、抗がん剤感受性との関連性を明らかにするために阻害実験を計画している。
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Causes of Carryover |
当該年度は概ね予定通りの予算使用であったが、依然としてコロナ禍における学会発表機会の減少のため学会出張を想定した旅費を中心に次年度使用額が生じた。臨床検体の収集、整理が進んだため臨床検体を用いた発現解析試薬(PCR、ELISAキット等)の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)