2022 Fiscal Year Annual Research Report
去勢抵抗性前立腺がんに対するアセチル化HMGB1を標的とした新規診断治療法の確立
Project/Area Number |
20K18142
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
後藤 景介 広島大学, 病院(医), 助教 (30784251)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 前立腺癌 / HMGB1 / FGFファミリー |
Outline of Annual Research Achievements |
*前立腺癌手術症例における血清HMGB1の血清バイオマーカーとしての意義 前立腺全摘除術を施行した87症例の術前血清サンプルを用いてHMGB1のELISAを行い血清HMGB1レベルを測定、臨床病理学的因子との関連を解析した。血清HMGB1レベルと病理学的T因子や悪性度(グリソンスコア)との間に有意な関連は認めず、手術後の非再発生存率とも有意な関連は認められなかった。この結果から、少なくとも現局性前立腺癌においては血清HMGB1レベルはあまり上昇していないことが示唆された。 *前立腺周囲脂肪組織中におけるHMGB1と炎症およびFGFファミリーとの関連 前立腺癌局所微小環境におけるHMGB1の影響を調べるため、前立腺周囲脂肪組織の発現解析を行なった。前立腺全摘除術中に摘除される前立腺前面の脂肪組織を回収、RNAを抽出しHMGB1の発現を定量PCRで解析した。187症例の脂肪組織検体を材料に定量PCRを行った。悪性度(グリソンスコア)の低い症例と比較して高悪性度の症例においてHMGB1の発現レベルが有意に高いことがわかった。他の臨床的因子を用いて炎症反応などとの関連を解析したが有意な関連を示す因子はなかった。一方で、HMGB1の高い症例において、内分泌型線維芽細胞増殖因子(FGFs)のFGF19、FGF21、FGF23がいずれも高発現しており、HMGB1の発現と有意な相関関係を示した。このことから前立腺局所の炎症環境から内分泌型FGFsも分泌され、前立腺癌の増殖に寄与していると考えられた。
|