2021 Fiscal Year Research-status Report
腎移植におけるT細胞関連拒絶反応の病理学的進行とAutophagyの関連性
Project/Area Number |
20K18145
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土本 晃裕 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (50572103)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎移植 / 腎組織傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎移植レシピエント,ドナーのデータベースを充実させて解析を行った.
まず,現行のガイドラインにおける慢性活動性T細胞関連拒絶の診断の妥当性,臨床経過についての検証を行った.慢性活動性T細胞関連拒絶と診断された症例は,急性T細胞関連拒絶と診断された症例と比較して予後不良であった.先行拒絶を経験している症例や,BKウイルス腎症を先行している症例が多かった.慢性活動性T細胞関連拒絶と診断されたが,臨牀情報と併せて,最終的に尿路感染症と診断された症例も多々見られた.つまり,急性型のT細胞関連拒絶に比し,慢性活動性T細胞関連拒絶は,病変が慢性化することにより,予後との関連は強くなるが,拒絶以外の要因(感染症)でも同様の組織傷害を来す可能性が示唆された.免疫染色の結果からは,合併症の有無による違いを見出すことはできなかったが,合併症例では治療抵抗性の症例が多く,予後不良因子として重要である可能性が示唆された. また,現行の境界型拒絶反応の診断基準についても検証を行い,旧診断基準に比し,その後拒絶に進展するリスクが高い可能性が示唆された. 追加研究として,腎移植ドナーの0時間生検組織についても検討を行った.喫煙と腎傷害についての関連性について検討を行った.喫煙患者においては,腎糸球体肥大が有意であり,細小動脈病変の硝子様変化が著明であった.この結果からは,酸化ストレスや,NO阻害陰性によって,細小動脈傷害に惹き起こされ,糸球体高血圧を介して腎組織傷害を引き起こす可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎移植組織傷害についての研究については順調に進捗している.当初の予定では,オートファジー傷害についても検討を行う予定であったが,担当予定スタッフの課題変更や,技術的な問題により,充分に進捗できているとはいえない.
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Strategy for Future Research Activity |
腎移植レシピエントの拒絶に関する検討においては,データの追加収集と解析をを行っている状況である.喫煙とドナー腎障害の関連性については,今後,電子顕微鏡検査による詳細な評価を追加して,細小動脈の詳細や,糸球体傷害の詳細について,さらに検討を行う予定である.
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