2020 Fiscal Year Research-status Report
母体栄養状態による胎児期エピゲノム変化を介した前立腺肥大症発生機構の解明
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20K18147
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
柴森 康介 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (30780845)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 前立腺肥大症 / 胎生期栄養状態 / エピゲノム変化 / SHR / 神経内分泌細胞 / 蛋白質制限食 / 高脂肪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
雌雄SHR(自然発生高血圧ラット)を交配させ、妊娠日から出産までの食餌を蛋白質制限食群、通常群、高脂肪食群の3群に分け、出産後から離乳までは一律通常食とした。離乳後は通常食のみを予定していたが、胎生期要因に加え出生後環境要因が更なる前立腺肥大を発症させる可能性を考え、離乳後に高脂肪食を負荷する群を追加し、胎生期3群、出生後2群の計6群とした。現在まで、24,48週は各群の飼育が終了した。 1 前立腺腹葉上皮間質重量を測定するため、体重当たりの前立腺腹葉重量をHE染色での上皮間質面積で補正した。KEYENCE社のBZ-Xを用いて行い、組織面積の定量化はフリー画像解析ソフトであるImage Jを用いた。出生後通常食群48週齢の3群間において有意差を認め、胎生期蛋白質制限食群が最も高重量であった(one-way ANOVA p=0.01)。一方、出生後通常食群の8週齢、16週齢、24週齢は各群間に有意差は認めなかった。出生後高脂肪食群は現在検討中である。 2 出生後通常食群48週齢の各群における、前立腺腹葉の遺伝子発現マイクロアレイ解析を行った。詳細は現在解析中であるが、サイトカインを調整し細胞分化・増殖、アポトーシスに関連するJAK/STAT経路や、蛋白質合成に関わるリボソーム蛋白質経路、細胞外マトリックスの維持、修復に関わるMMP28、アポトーシス阻害因子であるXIAPなど、複数の遺伝子発現の増強・減少を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットの繁殖、飼育は比較的順調であり、出生後通常食群48週齢の遺伝子発現マイクロアレイ解析も施行済である。3,8,16週齢は予定頭数に達していないため、今年度繁殖、飼育予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
3週齢、8週齢、16週齢群は予定頭数に到達していないため今後繁殖、飼育を行う予定であるが、動物実験施設移転のため数か月ほど遅れる予定である。 遺伝子発現マイクロアレイ解析の結果を参考に、今後real-time PCR法、各種免疫染色、蛍光免疫染色法を行う予定である。 上記実験でtargetとなる遺伝子を同定後に、CpGメチル化をバイサルファイトシーケンス法にて比較しエピゲノム変化の関連について検討する。
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