2021 Fiscal Year Research-status Report
FGL1産生メカニズムに着目した抗PD-1抗体療法耐性泌尿器癌克服のための研究
Project/Area Number |
20K18152
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
高木 敏男 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00385387)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 泌尿器がん / 腎癌 / 免疫チェックポイント阻害剤 / FGL1 / LAG3 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの進行がんで免疫チェックポイント阻害剤が使用され、高い治療効果を示しているが、その効果は限定された患者で認められ、治療抵抗性の患者に対する治療開発が望まれている。LAG3はT細胞上に存在する細胞疲弊に関わる分子であるが、最近この新たなリガンドとしてFGL1が報告された。本研究では、がん細胞から産生されるFGL1のみならず、宿主組織から産生されるFGL1の産生メカニズムとその意義を解明し、新たな治療標的探索を行うとともに、泌尿器がん臨床検体を用いてFGL1とLAG3のバイオマーカーとしての意義を明らかにする。2020年度は62症例の腎細胞がんの外科切除検体を用いて腫瘍浸潤免疫細胞のLAG3発現をマルチカラーフローサイトメーターで解析するとともに、免疫チェックポイント阻害剤を使用した腎細胞がん15症例の治療前血清を採取した。2021年度は、新たに20症例の腎細胞がんの外科切除検体と免疫チェックポイント阻害剤を使用した腎細胞がん10症例の治療前血清を採取・保存した。またFGL1産生メカニズムの解明に必要な実験 (in vitroおよびマウスモデル)を開始した。マウスの泌尿器がん細胞株(Renca)をマウスに皮下移植し、腫瘍径が経時的に増大していくのが観察できた。その際に、マウス血液をがん細胞株移植前、移植後7日目、14日目、23日目の4点で経時的に採取し、その血清を保存した。またsacrificeする際に、腫瘍組織、肝、脾を摘出し、核酸保存液を用いて保存した。さらにRencaの培養上清も保存した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体の集積は、これまでに腎癌切除検体を82症例分保存が完了しており、そのうち62症例はマルチカラーフローサイトメトリーによる解析を終了している。また免疫チェックポイント阻害剤を使用した症例の末梢血も25症例分が保存されており、順調に集積が進んでいる。しかし、マウスの腎がん細胞株を用いたin vitro、in vivoの実験に関しては、予定より遅れているため、今回上記の区分とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も臨床検体の集積は進める。同時に2021年度に採取・保存したマウス検体の解析を進めていく。Rencaをマウスに皮下移植後に、経時的に採取しすでに保存済みの血清を用いて、ELISA法にてFGL1を検出する。これによりFGL1の血中濃度がnaive マウスと比較してRencaを皮下移植したマウスで上昇していることが確認する。その後にどの臓器でFGL1が上昇しているかを探索するために、Renca皮下移植マウスとnaive マウスから摘出し核酸保存液で保存した腫瘍組織および肝臓、脾臓からRNAを抽出し、FGL1発現を検出することで、担癌状態でFGL1を産生する臓器を探索する予定である。
|
Causes of Carryover |
若干の研究の遅れが、次年度使用額が生じた理由と考える。2021年度に採取・保存したマウス検体の解析を進める上での、マウス購入、解析に必要な試薬などの費用に使用する予定である。
|