2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of selective progesterone receptor modulator for the proliferation and apoptosis in adenomyosis
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20K18156
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齊藤 佳子 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (20850754)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子宮腺筋症 / 選択的プロゲステロン受容体調節役 / ulipristal / 過多月経 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮腺筋症は過多月経、不妊、流早産の原因となる疾患であり、患者のQOLを大きく損ねることがある。わが国では第4世代プロゲスチンであるジエノゲストが子宮腺筋症に対し保険適応のある唯一の薬剤である。一方、子宮腺筋症に対する腺筋症切除手術には保険適応がなく、術後に妊娠が成立した場合、子宮破裂のリスクが高くなるため、挙児希望のある子宮腺筋症を有する女性に対する治療法は確立されていない。 子宮腺筋症は、子宮筋腫同様にエストロゲン、プロゲステロンにより増大するホルモン依存性の良性腫瘍である。子宮筋腫に対しては、選択的プロゲステロン受容体調節薬であるUlipristalに腫瘍縮小、症状緩和の効果が示されている。本研究では、Ulipiristalの子宮腺筋症に対する増殖抑制効果を明らかにすることを目的とする。 2020年度は、腺筋症組織の採取が困難であったため、予定していた実験が行えなかった。術前に薬剤投与されていないという条件に合致する症例からの採取ができなかったためであるが、この条件には合致しない症例から採取した子宮腺筋症組織で、予備実験と同様に、子宮平滑筋腫の初代培養方法に準じて、初代培養が可能であることを確認した。 分離培養した子宮腺筋症間質細胞をin vitroでエストラジオールを添加し培養を行った。その際、Ulipristal、対照薬としてジエノゲスト、プロゲステロンをそれぞれ添加し、増殖抑制効果をcell counting kit-8を用いてのassay、RNA定量などで比較を行っている。 また、子宮腺筋症細胞と、コラーゲンゲルを混合してxenograftを作成し、NOD/SCIDマウスの腎被膜下への移植も試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、手術の中止や延期が相次いだことにより、当初の想定よりも腺筋症組織の採取が困難となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
腺筋症組織を採取し次第、当初の予定通り実験を進める。 1)子宮腺筋症初代培養細胞を用いた、Ulipristalの増殖抑制効果実験 (in vitro)を行う。子宮腺筋症細胞の初代培養を行い、腺筋症培養細胞におけるエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)の発現をmRNAレベル、タンパクレベルで測定する。次に細胞培養液中にUlipristalを添加し、細胞増殖の変化、アポトーシスの変化をみる。腺筋症増殖抑制効果が証明されているジエノゲストも同時に添加し、無添加群、Ulipristal群、ジエノゲスト群で比較する。 2)マウス腎被膜下移植モデルを用いた子宮腺筋症xenograftモデルの妥当性を評価する (in vivo)。ヒトの①子宮腺筋症細胞、②子宮平滑筋細胞と子宮内膜間質細胞と、コラーゲンゲルを混合して作成したxenograftを、重症免疫不全マウスであるNOD/SCIDマウスの腎被膜下に移植する。マウスはxenograft移植手術時に卵巣を摘除しておき、移植手術の時点でエストロゲンとプロゲステロンの徐放ペレットを挿入する。2週間後、4週間後にマウスを解剖し、腎被膜下に生着したxenograftを取り出し増大割合を計測する。次に、HE染色を行い、臨床検体の腺筋症と組織型を比較する。また、ER、PRの発現を免疫組織化学染色にて確認する。 3)実験2で作成した子宮腺筋症xenograftモデルによる薬剤効果判定 (in vivo)を行う。マウス腎被膜下にxenograftを移植して2週間後からUlipristal、ジエノゲストをマウスに投与し、xenograftの縮小効果と組織学的変化、細胞増殖変化を明らかにする。Xenograftの増大割合を計測し、組織学的評価はHE染色、ER、PRの免疫組織化学染色を用いて行う。増殖変化はKi-67の免疫組織化学染色を用いて行う。
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Causes of Carryover |
2020年度は実験が実施できなかったため、各種試薬やマウスの費用など消耗品費を使用しなかったものがあった。実施が遅れた実験は2021~2022年度中に行う予定であり、次年度に繰り越して使用する。
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