2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂期キナーゼ阻害との合成致死性に基づいた新しい卵巣癌治療法の開発
Project/Area Number |
20K18162
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉内 学志 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50845097)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / ルテオリン / VRK1 / 患者腫瘍由来モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】卵巣癌は婦人科領域において最も予後不良な癌種の一つであり、VRK1はセリン・トレオニンキナーゼの一種で、 Barattaら (2015) による網羅的ノックダウンスクリーニングによって見いだされた卵巣癌の新規治療のターゲット遺伝子である。本研究では、申請者らが樹立したVRK1を高発現する卵巣癌患者腫瘍由来モデル (PDX) において、①VRK1阻害による抗腫瘍効果やシスプラチン耐性解除効果を生体モデルで初めて実証し、②それらを引き起こす分子生物学的メカニズムを解明することを目的とした。 【方法】(1) VRK1の発現を抑制するフラボノイドであるルテオリンを用いて、卵巣癌細胞株を用いたin vitroの各種アッセイを行った。(2) ルテオリンのin vivoにおける効能を明らかとするため、VRK1を高発現する卵巣癌PDXに対してルテオリン投与して抗腫瘍効果と副作用の評価を行った。(3) ルテオリンの抗腫瘍効果のメカニズムを解明するため、リン酸化アレイによる解析を行った。腫瘍検体を用いて免疫組織学的な評価を行った。 【結果】(1) 卵巣癌細胞株にルテオリンを添加すると、用量依存性に細胞増殖が抑制された。細胞周期のフローサイトメトリーではG2/M期細胞の割合が増加し、ルテオリンの抗腫瘍効果は細胞分裂の阻害であることが示唆された。(2) ルテオリン50ppm混餌の摂取によって腫瘍増殖が抑制された。ルテオリン投与による体重減少は認めなかった。(3) 卵巣癌細胞株に対してルテオリンを添加することで、p53のリン酸化亢進が認められた。上記のPDXモデル腫瘍を免疫組織学的に評価すると、細胞分裂のマーカーであるヒストンH3 (Ser10) のリン酸化が抑制されていた。また、p53のリン酸化が亢進しており、in vitroで確認された抗腫瘍効果メカニズムがin vitroでも再現された。
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Research Products
(1 results)