2020 Fiscal Year Research-status Report
妊婦健診データのAI分析による妊娠高血圧症候群の発症予測システムの実用化
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20K18168
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
品川 征大 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (50814472)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症 / 発症予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊婦健診データを入手して内容を目視にて確認し、外れ値を示すものについては、患者診療録を照らし合わせながら確認し修正作業を行なった。その結果、4042妊娠(妊娠高血圧症候群発症なし3764妊娠、発症あり278妊娠)のデータを得た。妊娠高血圧症候群(HDP)発症群、非発症群の背景データを分析した。HDP群の発症週数中央値は37.0週であった。HDP発症群、非発症群の年齢中央値はそれぞれ32.0歳、33.0歳であった。 本研究では、毎回の健診データの微細な変動を捉え、数週間後の未来に生じる合併症を予測することが目的である。そのため、学習には時系列データである妊婦健診データを用いた予測を行った。欠測を含む時系列データから内部状態を推定するため、データに適合する隠れマルコフモデル(HMM) を使用した。今回のモデルでは、収縮期血圧、拡張期血圧、尿蛋白の3つを出力変数として選んだ。合わせて、時間経過に応じた遷移の変化を反映するために、状態遷移確率の共変量として妊娠週数を用いた。とり得る状態の数をハイパーパラメータとして扱い、10から13までの範囲で変更して学習させた。とり得る状態の数を13として得られたモデルの場合、結果としていくつかの特徴的な状態が確認できた。例えば、高血圧・尿蛋白傾向となるHDP高リスク状態や、高確率で再度同じ状態に留まる安定した状態が存在した。さらに、妊娠15週時点での遷移確率と妊娠35週時点での遷移確率では顕著な変動が見られた。 モデル構築と並行して、2018年から2020年前半にかけての妊婦健診データを収集した。これらのデータは、今回学習したHMMの状態からHDP発症を予測する際の予測精度を評価するための検証用データとして用いる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予測モデルの確立を進めている。予測精度の検討用データも入手しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
発症予測モデルを確立し、その予測精度の検討を行う。検討用データ1040例を入手し、そのうちHDP発症例が111例あることを確認した。更に、実際の臨床現場で使用するためのアプリケーションを開発する。臨床医が簡便に使用できる必要があるため、ユーザインターフェイスはGraphical User Interface(GUI)の実装も検討する。毎回の妊婦健診データをアプリケーションに入力することにより、妊娠高血圧症候群の発症リスクが示されるアプリケーションの構築を目標とする。
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Causes of Carryover |
学会の現地参加等が中止となり、旅費の計上が全くなかったこと、解析に時間を要しており物品費等の使用が少なかったため未使用額が生じた。令和3年度の研究費と併せて、システム開発費に充てる。
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