2020 Fiscal Year Research-status Report
子宮内感染の予測と羊水穿刺の適応を診断する方法の開発
Project/Area Number |
20K18179
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
倉員 正光 福岡大学, 医学部, 講師 (30712468)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子宮内感染 / 絨毛膜羊膜炎 / 網羅的マイクロアレイ解析 / マイクロRNA / デジタルPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内感染は、早産や胎児炎症反応症候群と関連し、高度な炎症反応は新生児の高度後遺症や精神発達遅延をきたす予後不良因子です。そのため、早期に子宮内感染を予測診断することが重要になります。これまでに、次世代シークエンスで16S_rDNAを網羅的分析し、子宮内感染の病態生理を明らかにしました(Urushiyama, Kurakazu et al., Scientific Reports, 2017)。さらに、母体血中の炎症性バイオマーカーに羊水中の炎症性バイオマーカーを組み合わせることで高精度に子宮内感染を予測診断できることを明らかにしました(Kurakazu et al., Placenta, 2019)。 マイクロRNA(miRNA)は種々の感染症に関与しているという報告があり、miRNAが絨毛膜羊膜炎のバイオマーカーになり得るか検討しました。最初に候補となるmiRNAをマイクロアレイ解析により選出し、ddPCRを用いた多段階検証で、miR-4535、miR-1915-5p、miR-191-5pが子宮内感染で多く発現していることが示されました。この3つのmiRNAの発現について、63例の羊水サンプル(絨毛膜羊膜炎群37サンプルと絨毛膜羊膜炎のなかった群11サンプル、コントロールとして妊娠15-17週の羊水検査時に採取した15サンプル)を対象として、ddPCRで定量解析しました。miR-4535およびmiR-1915-5pの発現は、絨毛膜羊膜炎群で高値であり、羊水中16S_rDNAコピー数と有意に相関していました。miR-4353とmiR-1915-5pが、絨毛羊膜炎の予測診断のバイオマーカーになる可能性があることが示されました(Kiyoshima, Kurakazu et al., Future Science, 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miRNAが絨毛膜羊膜炎のバイオマーカーになり得るか検討し、miR-4535、miR-1915-5p、miR-191-5pが子宮内感染で多く発現していることが示されました。miR-4535およびmiR-1915-5pの発現は、絨毛膜羊膜炎群で高値であり、羊水中16S_rDNAコピー数と有意に相関していました。miR-4353とmiR-1915-5pが、絨毛羊膜炎の予測診断のバイオマーカーになる可能性があることが示されました(Kiyoshima, Kurakazu et al., Future Science, 2021)。その他について、おおむね順調に検討できている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)胎盤病理学的検索により絨毛膜羊膜炎の診断された症例(Blanc分類StageⅡとStageⅢ)、絨毛膜羊膜炎の診断に至らなかった症例(Blanc分類なし、Blanc分類StageⅠ)、コントロール症例として妊娠20週未満で羊水検査(染色体検査目的)された症例の羊水検体を用いて、炎症性バイオマーカーの測定(炎症性サイトカイン値(IL-6, IL-8, IL-1β, TNF-α)、デジタルPCR法により16S r-DNA量とmicroRNAs量)の測定を継続します。 2)実臨床的に有用なバイオマーカー1)における母体血中と臍帯血中の炎症反応(白血球数、CRP値)、新生児血中の炎症反応(白血球数、CRP、IgM、IgG、IgAなど)や新生児抗菌薬投与の有無との関連を検討し、決定します。 3)母体血中のバイオマーカーの意義の検討:2)で決定したマイクロRNAの母体血中での発現量を子宮内感染の有無(胎盤病理学的検索により絨毛膜羊膜炎のBlanc分類StageⅡまたはStageⅢと診断された症例)の母体血の検体を用いてデジタルPCR法にて検討します。
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