2021 Fiscal Year Research-status Report
ステロイド剤は羊膜を脆弱化しpreterm PROMのリスク因子となりうるか?
Project/Area Number |
20K18182
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
岡崎 有香 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 医師 (70816967)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 前期破水 / 早産 / 全身生エリテマトーデス / 羊膜 / グルココルチコイド |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠中もglucocorticoid投与がほぼ必須な代表疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)合併妊娠では周産期合併症が多く中でも早産が高率に発生する。早産にはグ ルココルチコイドが関連しているとする報告は数多くみられるものの、そのメカニズムは不明である。我々はステロイドが羊膜を減弱化し、前期破水のリスク因 子となると仮説をたて、そのメカニズムを含めて検証することを目的とした。これまでにヒト卵膜を用いた検討において以下のような結果を得た。 1. 羊膜間葉系細胞より抽出したRNAでマイクロアレイを行い、dexamethasone(DEX)投与による網羅的発現変動遺伝子解析を行ったところ、発現変動遺伝子には、免疫反応や炎症 反応関連遺伝子などに加えて、細胞接着関連遺伝子が多く含まれていた。なかでも、cadherinやintegrinなど細胞接着に大きく関わる遺伝子が大きく変動してい た。このことより、羊膜間葉系細胞においてDEXにより細胞接着関連遺伝子発現が変動し羊膜脆弱性に影響を与えていることが示唆された。 2. SLE合併妊娠患者からの羊膜よりRNAを抽出しRNA-seqを行った。SLE合併妊娠患者の羊膜に対するglucocorticoidの影響をみるため、羊膜間葉系細胞のDEXによる発現変動遺伝子と比較した。オーバーラップしている遺伝子は36遺伝子あり、この中でも著明に変動しているcell adhesion関連遺伝子にITGA8を認めた。ITGA8は組織の繊維化やリモデリングの過程で発現が増加することが報告されており、glucocorticoid作用による羊膜の繊維化を反映している可能性がありさらなる検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
glucocorticoidの羊膜での作用メカニズムを検討するためChIP-seq解析を当初予定していたが、羊膜から分離できる細胞数が少なくChIP-seqには不向きであっ た。その代替としてATAC-seqやCUT and RUNに切り替えて検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はDEXの作用メカニズムを探るべく以下を予定している。 検討1.次世代シークエンサーを用いてATAC-seqやCUT and RUNを行いDEXが直接結合している候補遺伝子を明らかにする。またその遺伝子を転写活性あるいは抑制して細胞接着を減弱させているのか、そのpathwayを明らかにする。 検討2. RNA-seqの結果見られたITGA8に注目し、ITGA8の作用を詳細に検討する。具体的には、ITGA8を羊膜細胞で過剰発現させた際、どのような変化がみられるかRNA-seqなどで検討をすすめる。
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Causes of Carryover |
細胞培養培地、添加因子、細胞刺激用試薬、細胞分離用酵素、qRT-PCR用の試薬およびシーケンス関連、ATAC-seq関連試薬およびシーケンス関連、抗体、培養ディッシュ、 ピペットなどガラス・プラスチック器具を購入するため。
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Research Products
(1 results)