2020 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体癌におけるヒストン修飾が及ぼす脂質代謝、慢性炎症経路による癌化機構の解明
Project/Area Number |
20K18184
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 亜紀 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医 (00567448)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子宮体癌 / 脂質代謝異常 / ヒストン修飾 / 慢性炎症 / エピゲノム / ヒストンメチル化酵素PRMT6 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮体癌は本邦で最も多い婦人科悪性腫瘍であり、肥満や生活習慣病がリスク因子であるといわれている。また肥満や生活習慣病は脂質代謝異常からなる慢性炎症を引き起こし、癌化につながると言われている。近年、エピゲノム、特にヒストン修飾が癌化において重要である事が知られている。我々は、脂質代謝や炎症を制御する上位因子にヒストン修飾が関わっているという仮説を立て、肥満や生活習慣病が子宮体癌の発生に関わるメカニズムの解明を目指した。我々はヒストンメチル化酵素PRMT6に着目した。PRMT6はH3R2メチル化を触媒し、周辺のヒストン修飾を介して遺伝子の発現を調節している。子宮体癌におけるPRMT6の治療標的としての検討に加え、癌化や進展のメカニズムとしてヒストン修飾の調節機構をATAC-seqやChIP-seq等のエピゲノム解析にて検討した。当院子宮体癌52例と正常子宮内膜4例のPRMT6のmRNA発現量をq-PCRにより評価し、TCGAデータベース上の子宮体癌508例のmRNA発現量と予後の相関を検討した。子宮体癌細胞株をsiRNAによりPRMT6をknockdown (KD)し、細胞増殖抑制能、アポトーシス誘導能、ヒストンメチル化を検討した。続いてATAC-seq、ChIP-seqによりクロマチン構造の変化やヒストン修飾の調節機構を評価した。子宮体癌は正常子宮内膜に比して有意にPRMT6のmRNA発現量が高値で、予後と負の相関を示した(p<0.01)。PRMT6-KDによりH3R2メチル化の減少を伴うアポトーシス誘導型の細胞増殖抑制効果を認めた。ATAC-seqではPRMT6-KDにより3850領域のクロマチン構造が変化し、ChIP-seqではヒストン修飾を介して複数の癌関連転写因子、炎症制御因子を調節していることが明らかになった。我々はさらに上記下流因子の機能解析を進める予定である。
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Research Products
(1 results)