2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the effects of chronic endometritis on endometrial immunocompetent cells
Project/Area Number |
20K18189
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
北澤 純 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (30823900)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性子宮内膜炎 / ヘルパーT細胞 / Th1細胞 / Th2細胞 / 形質細胞 / 着床障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
着床障害の原因となる慢性子宮内膜炎(CE)と、着床や妊娠継続において重要な役割をもつ免疫細胞であるヘルパーT(Th)細胞亜群(Th1、Th2、Th17、Treg細胞)との関連を調べることを目的とした。 着床期ヒト子宮内膜を採取し検討したところ、CEではTh1細胞が上昇し、Th2細胞が減少していた。Th17、Treg細胞についてはCE群とnonCE群で差は認めなかった。また、CEの診断に用いられる子宮内膜間質の形質細胞数が増加するほど、Th1細胞数は増加し、Th2細胞数は減少した。形質細胞とTh細胞の関連をさらに調べるため、CE患者の子宮内膜を蛍光免疫染色したところ、Th細胞は形質細胞周囲に有意に集蔟していた。 子宮内膜の免疫細胞は月経周期に伴い変動し、通常であれば着床期子宮内膜のTh1/Th2バランスはTh2優位となるはずだが、CEではTh1優位に変化していた。このことが着床障害の一因となっている可能性が示唆された。また、Th細胞バランスが形質細胞数とともに変化し、またTh細胞が形質細胞周囲に集蔟していたことから、両者がCEの原因となる細菌やウイルスに対して共に免疫応答している可能性が推察された。 現在CE治療は主に抗菌薬が使用され、CE治癒症例ではnonCE症例と同等の妊娠率に改善する。しかし、一部に抗菌薬抵抗性のCE持続症例が存在する。このような症例に対して、Th1/Th2細胞バランスの変動を改善するような免疫抑制剤が妊孕性の改善につながる可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和1年度に予定していたTh細胞のフローサイトメトリー解析を予定通り終えて、誌上で報告した。しかし令和2年度以降に予定していた子宮内膜のサイトカインの解析や樹状細胞の解析については、症例の蓄積を行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回のTh細胞の結果、CEでは子宮内膜のTh1/Th2細胞バランスに変化をもたらすことが明らかになった。この原因の究明のため、Th細胞の分化に関連するサイトカインの解析や、樹状細胞の解析が役立つと考えている。この解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究の進行がやや遅れており、令和2年以降に予定していたCEにおける子宮内膜のサイトカインの解析と、子宮内膜の樹状細胞の解析を現在遂行している段階である。 本来であれば令和2年に解析を終えている予定だったが、令和2年度の研究費も使用して解析を継続する予定である。
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