2020 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜異型増殖症を発生母地とした類内膜腺癌の新規病態発生機構の解明
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20K18194
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
岡田 匡氷 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (30867453)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / tight junction / malignancy / claudin / HDAC inhibitor |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リーキータイプのタイトジャンクションタンパク質であるCLDN-2の過剰発現が、ヒト子宮内膜腺癌の悪性化に密接に寄与していることを初めて明らかにした。claudin-2を高発現している子宮内膜癌細胞株(Sawano)を用いて調べた結果、CLDN-2のダウンレギュレーションは、上皮のバリアーを上昇させ、子宮内膜がん細胞の細胞増殖だけでなく、細胞移動や細胞浸潤も抑制した。 また高glucose培地処置をすることによりclaudin-2は低下し、上皮バリアおよび細胞遊走の亢進、細胞浸潤の低下することを解明した。。 子宮内膜腺癌細胞株にHDAC阻害剤tricostain AおよびHDAC1特異的阻害剤処置をしたところ、癌細胞の浸潤、遊走および増殖の明らかな抑制がみられ、その変化は要領依存性であった。また癌細胞の代謝への影響を調べるため、細胞外フラックスアナライザー(XFe Series)を用いて、癌細胞におけるミトコンドリア呼吸代謝において、高glucose培地による亢進、低glucose培地による低下を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度はclaudin-2を高発現している高分化型類内膜腺癌細胞株(Sawano)を用いて、claudin-2の癌細胞の上皮バリア機能および増殖、浸潤、遊走における役割を解明した。siRNA処置による癌細胞の上記役割を解明し、また抗腫瘍効果のあるヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase:HDAC)阻害剤を処置しclaudin-2の発現・局在変化と細胞増殖抑制の変化を検討することができた。 しかし、正常子宮内膜上皮細胞、および間質細胞の検体の入手や初代培養が難しく、正常子宮内膜でのclaudin-2の役割の解明や細胞外フラックスアナライザー(XFe Series)を用いた癌細胞におけるミトコンドリア呼吸代謝の変化の解析が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外フラックスアナライザーを用いて, 正常細胞の代謝量を測定することで, がん細胞の糖代謝とclaudin-2との関係を調べる。 また今後は, 子宮内膜癌とclaudin-2の悪性化の関連について, 正常上皮細胞との比較を行いつつ, 糖代謝の面からの検討も加えることで, 正常上皮および癌細胞における役割を多面的に解明していく予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた実験の実施が本年度に延びてしまったため、次年度使用額が発生した。当該研究については現在実施中であり、予算はこれに使用している。
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Research Products
(1 results)