2022 Fiscal Year Research-status Report
慢性子宮内膜炎における子宮内サイトカイン異常と着床不全発症機序の解明
Project/Area Number |
20K18201
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
落合 阿沙子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (30869582)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性子宮内膜炎 / 不育症 / 着床不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性子宮内膜炎は不妊症の一因であり、受精卵が子宮内膜に着床しない「着床不全」を来す。慢性子宮内膜炎は感染などを契機に子宮内膜におこる慢性炎症を指し、従来は子宮鏡検査での肉眼的炎症所見や、組織学的な子宮内膜間質への形質細胞浸潤の存在により診断されてきた。しかし、子宮鏡検査での診断は医師の主観であり、未だ一般的な診断基準がないことから術者による差がある。また、組織学検査では子宮内膜生検に際して患者への侵襲があること、子宮内膜間質への形質細胞浸潤は抗CD138抗体を用いた免疫染色が必要であるが一般的な検査ではなく広く検査できる施設に限りがあることが問題である。汎用性の高く低侵襲な検査法の開発が必要である。 更に、なぜ慢性子宮内膜炎が着床を阻害するのかといった病態解明はなされていない。子宮内膜が着床に適した状態へ変化する脱落膜化においては子宮内膜細胞同士が様々なサイトカインを放出する事で互いに脱落膜化反応を調整している。慢性炎症により炎症細胞から放出される炎症性サイトカインは、これらの脱落膜化に必要なサイトカインによる細胞間情報伝達を阻害するのではないかと仮説をたてた。 本研究では慢性子宮内膜炎患者の子宮内腔洗浄液を解析することで洗浄液中のサイトカインレベルの異常を検出することで、慢性子宮内膜炎における新たな検査手法を提示することが目的である。またサイトカイン異常が脱落膜化を阻害し着床不全の原因となることを培養子宮内膜細胞を用いて証明することで着床不全の病態解明を行うものである。本研究で慢性子宮内膜炎患者群の子宮内腔洗浄液中にIL-6などのサイトカインが上昇していることが予備実験によって明らかになった。令和4年度は主に更なる検体採取と保存をメインに行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
慢性子宮内膜炎患者群の子宮内腔洗浄液中にIL-6などのサイトカインが上昇していることが予備実験によって明らかになった。今後はマルチプレックスアッセイによってより広範囲にサイトカインレベルを計測する予定である。研究進捗は、コントロール群の正常内膜検体が予想以上に集まらず、時間を要しているためやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
予備解析で慢性子宮内膜炎に伴い上昇するマーカーなどの検出を行うことができた。今後は正常検体を主に採取し解析する。その後、正常群と患者群との比較を行い新たな診断マーカーの同定を行う。
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Causes of Carryover |
正常検体が予想以上に採取が難しく大規模解析に検体を回すことができなかったため次年度に繰り越します。正常検体が十分量集まったところでマルチプレックスアッセイなどの大規模解析および論文化を行います。
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