2023 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠高血圧腎症・不育症に対する新たな治療~ヒトiPS細胞を用いて~
Project/Area Number |
20K18206
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大門 篤史 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (20846894)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 流産モデルマウス / 血管新生因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
hiPS細胞からEPCへの分化誘導を行い、細胞の特性を解析した。RT-qPCRにおいて分化2日目の細胞では多能性マーカーの発現が有意に低下した。また分化5日目には、EPC関連マーカーであるCD31・CD34・KDRの発現が増加し、血管形成能を有していたことから、hiPS-EPCへの分化を確認した。このhiPS-EPCを流産モデルマウスに尾静脈投与すると、流産率は有意に減少した(P=0.042)。次に流産率改善の機序解明のために、GFP(Green fluorescent protein)標識iPS細胞をEPC(GFP-EPC)に分化させ、尾静脈投与した。組織透明化技術および免疫染色法を用いて妊娠マウスの子宮における血管の3次元構築および観察を行ったところ、胚に隣接する子宮血管系にGFP-EPCが局在していることを確認した。次にEPCの血管新生促進因子産生作用に着目し、hiPS-EPCも同様の作用を持って胎盤形成に関与すると仮定した。胎盤形成において重要な血管新生促進因子であるVEGF、PlGFの発現レベルをRT-qPCRで解析した。hiPS細胞と比較してhiPS-EPCでは両者とも有意に上昇した。さらにhiPS-EPCを投与したマウスの胎盤におけるRT-qPCRでは、胎盤形成期である妊娠10.5日目にマウス由来VEGF、PlGFの発現が有意に増加していた。これらの結果は、静脈内投与により妊娠胚に到達したhiPS-EPCが、血管新生促進因子を産生することで、マウス胎盤における血管新生促進因子発現も改善し、流産を減少させる可能性を示唆するものであり、流産に対する治療法の確立に期待できると考える。
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