2022 Fiscal Year Annual Research Report
Precise regulation of SOX9 expression during gonadal development by the testis specific enhancers using a genetically humanized mouse model
Project/Area Number |
20K18208
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
辻 敦美 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, (非)研究員 (40842414)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精巣分化 / SOX9 / エンハンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度には、in vitroレポーター実験においてhXYSRa配列がSOX9の作用によりエンハンサー活性を有することを確認した。また配列内のSOX9結合配列置換により結合配列同定に至った。一方mouse in vivo解析として、当初C57BL/6とDBA/2の交雑種においてmXYSRaをhXYSRaに置換したマウス(hXYSRa置換マウス)を作製したところ、XY個体で精巣分化が誘導されなかった。この発現量解析では、胎生期11.5日性腺においてSry発現が認められており、Sry以降のSox9及びその下流遺伝子の発現が障害されたと推察された。 性分化研究領域において、1)系統・遺伝学的背景の差異により同じ遺伝学的修飾を有する場合でも表現型が異なるケースが多く知られていること、2) Sry/SRYは種間での配列保存性が低いこと、を考慮し、hXYSRa置換マウスのDBA/2系統への戻し交配及びヒトSRYの過剰発現を進めた。これら遺伝子改変マウスラインにおいて、hXYSRa置換をhomozygousに有する XY成獣の一部で、精巣成分の分化・内外性器の雄性化が認められた。したがって、得られた表現型について1) DBA/2系統の遺伝学的背景においてはhXYSRaのエンハンサー機能が救済された可能性、及び2) ヒトSRY過剰発現によりエンハンサー機能が救済された可能性が示唆された。 以上の通り、本研究によりhXYSRa配列のエンハンサー活性およびそのSOX9結合配列をin vitroで明らかにした。また一部のマウス系統でhXYSRa配列がin vivoにおいてもエンハンサー機能を有し、mXYSRaの機能を代償する可能性が示唆された。本研究成果は、ヒト性分化疾患の原因となる非遺伝子コード領域について、in vivo解析を行う上でのマウスモデル作製に重要な知見をもたらした。
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