2021 Fiscal Year Research-status Report
Targeting epigenetic regulators as a novel combination therapy for gynecologic malignancies harboring SWI/SNF alteration.
Project/Area Number |
20K18211
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
重田 昌吾 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90842633)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣明細胞癌 / エピゲノム / SWI/SNF / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までにBAZ2A阻害剤とEZH2阻害剤を併用することによりARID1A変異を有する卵巣癌細胞において相乗的な抗腫瘍効果が得られることを複数の卵巣癌細胞株を用いて確認した。本年度は、ARID1A変異と相乗的抗腫瘍効果の関係をさらに検証するためARID1A野生型卵巣癌細胞株にCRISPR-CAS9遺伝子編集技術をもちいて遺伝子ノックアウトを導入し、親株と比較してARID1A変異導入細胞株において上記阻害剤併用による抗腫瘍効果がより強く観察されることを確認した。以上より、ARID1A変異がEZH2阻害剤、BAZ2A阻害剤併用療法の感受性に直接関与することを実験的に示すことができた。 また、上記阻害剤の併用効果を生体で確認するためAIRD1A変異卵巣癌細胞を移植したマウス異種移植モデルを作成した。少数のマウスを用いた予備実験で各阻害剤単独、また併用療法の検証を行い、設定した濃度ではいずれの群でも致死的な有害事象の出現はみられなかった。 併せて癌オルガノイドモデルでの検証実験にむけてオルガノイドモデルの樹立も継続して実施中である。昨年同様に短期間の培養は可能となっているが、長期安定培養可能なオルガノイドの樹立には至っていない。 また、本研究の主目的であるEZH2阻害剤との併用とは異なるが、エピゲノム制御分子の一つであるCHD4の機能阻害によって卵巣癌の白金製剤感受性が増強することを研究グループ内の派生研究として確認した。CHD4阻害剤と白金製剤の併用療法が卵巣癌治療に有効である可能性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BAZ2AとEZH2阻害剤の併用療法がARID1A変異を有する卵巣癌で有効であることは、複数の細胞株を用いた実験に加え、ARID1Aノックアウトを導入した遺伝子改変卵巣癌細胞も用いることで順調に検証することができている。また、生体における有効性を確認するためのin vivoモデルについても予備実験まで完了し、次年度に向けた準備が整っている。 一方、癌オルガノイドの樹立に関しては長期安定培養可能なモデルの作成に至っていない。オルガノイドの作成に必要なマトリゲルの供給が一時滞ったこともやや影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検証でBAZ2AがEZH2の発現制御を介して相乗的抗腫瘍効果をもたらす可能性を確認しているが、エピゲノム分子であるためより多角的な発現調整により抗腫瘍効果をもたらしている可能性がある。卵巣明細胞癌におけるBAZ2Aのより包括的な機能を確認するために、網羅的遺伝解析やChip-Seqなどを検討する。また、他のエピゲノム制御分子の機能阻害とEZH2機能阻害の相乗作用についても追加で検証を行う。癌オルガノイドの樹立、また異所移植モデルマウスを用いた生体における腫瘍増殖抑制効果の検証についても引き続き実験を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。令和4年度の研究費と合わせて、令和4年度に計画している網羅的遺伝子発現解析や異種移植モデルマウスを用いた実験、また癌オルガノイドを用いた実験に使用する予定である。
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