2021 Fiscal Year Research-status Report
臓器連関に着目した多嚢胞性卵巣症候群の病態解析と新規治療法の開発
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20K18217
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大須賀 智子 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (30778296)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多嚢胞性卵巣症候群 / モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
PCOSモデルラットを胎生16-19日目に経母体DHT投与により作成した。PCOS様表現型として、性周期の異常や卵巣の多嚢胞化所見を確認した。視床下部と肝臓について、DNAメチル化解析、RNA sequencingによる遺伝子発現変動の解析を施行した。プロモーター領域のDNAメチル化変化の解析では、モデルにおいてコントロールに比して高メチル化を示した遺伝子は視床下部で500、肝臓で200、内共通する遺伝子は20であった。低メチル化を示した遺伝子は視床下部で424、肝臓で186、内共通する遺伝子は12であった (|Fold change| >2, p<0.05) 。RNA sequencingにおける発現変動遺伝子 (|Fold change| >2, p<0.05) 数は視床下部で12、肝臓で57、内共通したものは3遺伝子であった。視床下部と肝臓で共通して変化を示した遺伝子では、メチル化変化と発現変動遺伝子との関連は示されなかった。メチル化変化と発現変動を示した遺伝子は、視床下部でVglut1 (高メチル化/発現低下)、Bcmo1 (低メチル化/発現低下)が認められた。VGLUT1-positive glutamatergic neuronはストレス反応における褐色脂肪細胞の熱産生やGnRHニューロンの制御に関連するという報告がある。またBCMO1の遺伝子多型とPCOSの関連が報告されている。肝臓で遺伝子発現変動のみられたアディポカイン・ヘパトカインとしてRBP4が検出され、ELISA (enzyme-linked immunosorbent assay) にて血清濃度の上昇が確認された。 治療薬候補の作用を検証するための、多能性幹細胞からの生殖中枢細胞への分化誘導実験につき、オスマウス由来ES細胞からの視床下部分化誘導が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PCOSモデルラットにおいて、RNA seqによる遺伝子発現変動解析に加え、遺伝子発現変動の要因として、プロモーター領域の網羅的なDNAメチル化変動の解析を行った。発現変動のみられたアディポカイン、ヘパトカインに対し、ELISAによる血中濃度のvalidation解析を行った。 候補分子に対する阻害剤を用いた治療薬候補としての検討として、患者由来細胞を用いたin vitro解析につき、患者由来細胞の確保が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
多能性幹細胞からの生殖中枢細胞への分化誘導実験が進んできており、メスマウス由来ES細胞からの視床下部への分化誘導に至った際には、生殖中枢への治療薬候補の影響の検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた学会参加等による旅費が生じず、オンライン参加等になったため、残額が生じた。次年度は最終年度であり、論文投稿による英文校正、論文投稿費用などにより使用する計画である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Functional Lactotrophs in Induced Adenohypophysis Differentiated From Human iPS Cells2022
Author(s)
Miyake Natsuki, Nagai Takashi, Suga Hidetaka, Osuka Satoko, Kasai Takatoshi, Sakakibara Mayu, Soen Mika, Ozaki Hajime, Miwata Tsutomu, Asano Tomoyoshi, Kano Mayuko, Kawaguchi Yohei, Miyata Takashi, Kobayashi Tomoko, Sugiyama Mariko, Iwama Shintaro, Iwase Akira, Inoshita Naoko, Arima Hiroshi, Kajiyama Hiroaki
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Journal Title
Endocrinology
Volume: 163
Pages: 1-7
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Impact of perioperative use of GnRH agonist or dienogest on ovarian reserve after cystectomy for endometriomas: a randomized controlled trial2021
Author(s)
Muraoka A, Osuka S, Yabuki A, Bayasula, Yoshihara M, Tanaka H, Sonehara R, Miyake N, Murakami M, Yoshita S, Nakanishi N, Nakamura T, Goto M, Iwase A, Kajiyama H.
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Journal Title
Reprod Biol Endocrinol.
Volume: 19
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Effects of Unkeito, a Traditional Japanese Kampo Medicine, on Animal Models of Polycystic Ovary Syndrome2021
Author(s)
Sayako Yoshita, Satoko Osuka, Ayako Muraoka, Shotaro Hayashi, Natsuki Nakanishi, Tomohiko Murase, Tomoko Nakamura, Maki Goto, Hiroaki Kajiyama, Tomofumi Shimizu, Chinami Matsumoto
Organizer
第73回日本産科婦人科学会学術講演会
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