2020 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸癌における三酸化二砒素によるCBR1増加を介した新規分子標的治療の開発
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20K18222
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
梶邑 匠彌 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20780779)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子宮頸癌 / carbonyl reductase 1 / 三酸化二砒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
三酸化二砒素(ATO)は特定の腫瘍に対する抗腫瘍効果をもつ可能性がこれまで示唆されてきた。子宮頸癌に対してCrbonyl rfeductase1 (CBR1)が抗腫瘍効果を持つことはこれまでに報告してきた通りであるが、CBR1の誘導物質として、ATOに注目し、誘導効果を検証している。本年度は以下の実験を行った。1.子宮頸癌細胞の機能に対するATOの影響をin vitroで検討する。 子宮頸癌細胞株SiHa 及びSKGIIを用いて細胞培養を行う。培養開始より24時間後より培養液をATO添加培養液に交換して培養し、CBR1の発現変化を検討する。その上で細胞の機能、MET 関連因子の発現変化について解析する。2.腫瘍移植モデルマウスの腫瘍形成能に対するATOの影響を評価する。 子宮頸癌細胞株を、ヌードマウス 皮下に移植し、腫瘍モデルマウスを構築する。移植後1週間で腫瘍形成を確認したのち、5 mg/kgのATOを尾静脈注射投与し、腫瘍形成能への影響を検討する腫瘍を摘出し、組織中のCBR1 発現、またMET 関連因子の発現を解析する。 上記に対してATOは子宮頸癌細胞の増殖をin vitroでも in vivoでも有意に抑制し、子宮頸癌に対する抗腫瘍効果を持つことが示唆された。またATO投与によってCBR1の発現がタンパクレベルで増加した。これまで我々はCBR1の子宮頸癌に対する抗腫瘍効果を報告してきたが、ATOはCBR1発現誘導を介して子宮頸癌に対する抗腫瘍効果をもたらす事が示唆された。一方でATOのCBR1誘導メカニズムについては明らかではない。今後さらに臨床応用を図っていく上で、このメカニズムを明らかにする必要がある。Xenograftモデルを作成し、免疫染色などによる周囲環境の検証や、in vitro、in vivoにおける腫瘍組織による網羅的転写産物解析など考慮している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初報告した予定に基づき順調に研究は進展している。 また当初想定しなかった結果については追加実験を組み、その進行を計画中である。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮頸癌において三酸化二砒素がCBR1の誘導効果を持つことは確かめ得たが、その分子的な解析には至っていない。どのような機序でCBR1を誘導するのか、また三酸化二砒素の持つ抗腫瘍効果の分子学的な解析を今後もさらに追加していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はCOVID19感染症の拡大により、各種学会に実地で参加することが不可能になった。このため、旅費は未使用となった。尚、次年度以降の学術集会は現時点では実地開催の予定となっており、出席を考慮し新たに使用予定を組んだ。その他、物品に関して、本年度の感染症拡大による影響で特に海外発注の抗体などの物品の無期限取り扱いが延期となった商品があり、代替品による実験が困難なものは実験そのものを延期としたものがある。これにより予算も先送りになった。当様式記入時において状況は改善傾向にあり、再度入荷が可能となった商品もある。このため本年度にはこうした実験を再度計画し、改めてそのための抗体購入費などを元々の予算に上乗せして算出した。また本来予定していた本年度実験に関して予定通り研究活動を行う予定であり、当初予定通りの研究費を算出した。
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