2022 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌におけるANGPTL2を標的とした新たな治療戦略の開発
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20K18223
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
竹下 優子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (40838645)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 婦人科腫瘍 / ANGPTL2 / 癌種 / インテグリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦において卵巣癌は、現在、婦人科悪性腫瘍の中で最も死亡者数の多い予後不良の難治性疾患である。卵巣癌に特徴的な転移様式は腹膜播種であることから、これら腹膜播種に関する分子メカニズムを解明することは極めて重要である。 本研究では、癌腫における発癌や癌の浸潤、転移に関与する血管新生因子であるアンジオポエチン様因子2(Angiopoietin like protein 2: ANGPTL2)に着目し、卵巣癌における同分子の機能の解明を目的とした。そして最終的には、ANGPTL2を治療標的とした卵巣癌に対する新規治療戦略の開発を目指す。 今回われわれは、卵巣癌細胞株を用いて、ANGPTL2過剰発現株の樹立に成功した。さらに、この過剰発現した細胞をマウス腹腔内に投与したin vivo腹膜播種モデルを作成した。網羅的な解析を行った結果からは、ANGPTL2発現株投与群では播種病巣はほとんど認められず、コントロール群と比較して、腫瘍サイズ・結節数ともに有意な差が認められた。さらに、マウスモデルを用いて生存期間についての解析を行った結果、ANGPTL2投与群のほうが有意に生存期間の延長が確認された。このことから、腫瘍に発現するANGPTL2はin vivoにおいて腹膜播種を抑制することが示された。さらに、腹膜播種病巣形成の重要な因子である細胞接着の観点から基礎解析を行った結果、ANGPTL2発現細胞では、インテグリンα5β1、α6、およびβ4の発現低下が認められた。また、接着実験では、ANGPTL2発現によってLamininへの細胞接着は低下していたが、Fibronectinへの接着は亢進していた。 以上に示した一連の解析の結果から、卵巣癌におけるANGPTL2の発現制御は、卵巣癌の腹膜播種制御法の開発に応用できる可能性を有していると考える。
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