2020 Fiscal Year Research-status Report
リゾリン脂質経路の絨毛細胞機能への役割と妊娠高血圧腎症の病理機序の解明
Project/Area Number |
20K18227
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
市川 麻祐子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30833678)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧腎症 / 胎盤形成不全 / 脂質 / 脂肪組織培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織培養系を用いた解析を行い、脂肪細胞が妊娠高血圧症候群で上昇するRAGEリガンドであるHMGB1によって炎症性因子を強発現することを見出した。次に、ヒト胎盤におけるLPAR1~6の発現量をRT-PCR法、Western Blotting法、免疫染色法にて解析し、特にLPAR3は妊娠高血圧腎症の胎盤で発現量が増加していることが判明した。 BPR(胎児胎盤重量比)と血清ATX値との関係、および酸化ストレスマーカーdROM、BAPと血清ATX値との関係についての解析を行った。胎盤のATX-LPAシグナルは酸化ストレスを調整することにより免疫調整や細胞分化に影響を与え、胎盤機能を胎児発育のために適切なレベルに調整する役割を担っていることが示唆された。これまでの研究結果の意義としては、妊娠中の血清ATX濃度の測定は胎盤機能を評価するための有用なバイオマーカーの候補となり得るということである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、暫定的に4段階の実験計画を立てていたが、そのうち1段階目が終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、我々の開発した脂肪組織培養系を用いて、妊娠高血圧腎症患者由来の血清を添加して培養し、組織内での遺伝子発現をマイクロアレイ・メチル化シークエンスで確認することを予定している。pathway解析にて有意な上昇のあるpathwayを抽出し、LPAR3を介して変動している因子を見出すことが目的である。 変動因子の候補が確定した後、データベースを用いて、LPA経路を刺激・促進できる薬剤を見出し、上記培養系に加えることで、将来的に臨床応用できる可能性を評価する計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、全ての学会がweb開催となり、想定していた旅費がかからなかったため。翌年度分の助成金と併せて、実験機器の購入費用として使用する計画である。
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[Presentation] 妊娠高血圧症候群診断基準の改訂による管理の変化についての検討2020
Author(s)
26.山中彰一郎,面川 渚, 上林潤也, 西川実沙, 中谷真豪, 竹田善紀, 大西俊介, 中野和俊, 市川麻祐子, 赤坂珠理晃, 成瀬勝彦, 小林 浩
Organizer
第72回日本産科婦人科学会学術講演会