2023 Fiscal Year Research-status Report
HPV18型のウイルスゲノム解析:臨床応用への検討
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20K18234
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
廣瀬 佑輔 昭和大学, 医学部, 助教 (40869187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | human papilloma virus / HPV16 / HPV18 / ddPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
HPVは8000塩基対の環状二本鎖DNAをもつDNAウイルスで、癌ゲノムであるE6・E7など8つのウイルス蛋白質をコードしている。これまでに120種類以上の遺伝子型が同定されているが、そのうちHPV16型やHPV18型など少なくとも15種類が子宮頸癌の主要な原因ウイルスとなることがわかっている。子宮頸癌あるいはCINの原因はHPVの持続感染だと考えられている。HPVDNAは感染後血中に入らず子宮頸部細胞内で潜伏感染することで抗原提示細胞に認識されにくくなり、免疫を回避していると考えられていたが、近年子宮頸癌患者の血中からHPVDNAが検出されることが分かってきた。HPV感染細胞が癌化し脈管侵襲する中で、血中にHPVDNAが組み込まれた癌細胞が血中に乗ることによると思われるが、はっきりとした機序は不明である。実臨床では、HPV感染により引き起こされる中咽頭癌を扱う耳鼻咽喉科で放射線治療の効果判定などに応用する動きも出てきている。しかし現状では子宮頸癌患者の血中HPVDNAをバイオマーカーとして利用できる根拠となる研究はない。本研究では子宮頸癌患者を対象とし、外来通院時や手術前後の採血のタイミングで得られる血液検体からQIAamp Circulating Nucleic Acid KitとQIAamp DNA Mini Kitを用いて血中HPVDNAを抽出し、癌ゲノムであるE7をddPCR法にて定量化することを目的とする。現状の研究報告では咽頭癌患者から同様の研究を行なっており、子宮頸癌患者でも応用がきくものと考えられる。HPVDNA_E7が数値として定量測定できることで治療の評価や、再発予測、また治療前の効果予測などにも応用が効くと予想され新たなバイオマーカーとして臨床的に価値が高いと思われる。 当該年度ではddPCRのRUNを施行し結果解析のち論文化して発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体のためスムーズに検体回収がいかないことがあり目標数より遅れていると考えている。 実験自体は概ね結果が出るレベルには達したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータを解析中であり今年度中に論文化を考えている。 また今後は現在解析中の型についてだけなく、他のハイリスク型についても実験・検討をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナによる研究の遅れや臨床検体ゆえの回収率の低さから実験進行全体に遅れがある。本年度研究データ解析および学会発表と引き続きの実験試薬などについて次年度使用が生じている。
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