2022 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣機能制御における転写因子Runx3の標的遺伝子の解明
Project/Area Number |
20K18237
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
小島 史也 川崎医科大学, 医学部, 助教 (10771157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Runx3 / Inhbb / 卵胞顆粒膜細胞 / 転写制御 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス卵胞顆粒膜細胞に発現していることが知られている転写因子Runx3の卵巣機能制御における役割の解明を目的とし、Runx3の標的遺伝子として考えられたInhbbの転写制御におけるRunx3の作用を解析した。 前年度までに、OV3121細胞を用いたルシフェラーゼアッセイにより、Runx転写因子結合配列を含むマウスInhbb上流域を組み込んだレポーターベクターはレポーター活性を有しており、その活性はRunx3発現ベクターによりRunx3を過剰発現させた場合に上昇することを明らかにした。また、Runx3によるこの転写活性の上昇は、エストロゲン受容体α(ERα)を過剰発現させた場合、リガンドであるE2存在下でさらに上昇することを明らかにした。これらのことから、Runx3はInhbbの転写制御において促進的に作用する転写因子であることが示唆された。 そこで、Runx3によるInhbbの転写促進は直接的な作用によるものか、クロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイによって解析した。Runx3発現ベクターをトランスフェクションしたOV3121細胞に対してマウスRunx3抗体によるChIPで得られたDNA断片を用いて、ルシフェラーゼアッセイにおいてRunx3の促進的作用が見られたInhbb上流域に対するリアルタイムPCR解析を行った。その結果、Runx3を過剰発現させた場合にRunx転写因子結合配列を含むDNAの濃縮レベルはコントロール群と比較して上昇した。ルシフェラーゼアッセイで用いたレポーターコンストラクトおよびRunx3発現ベクターをコトランスフェクションしたヒト肝癌由来細胞株HepG2細胞においてChIPアッセイを行ったところ、OV3121細胞と同様の結果が得られた。 本研究により、Inhbbの転写はRunx3により直接的に促進されていることが示唆された。
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