2020 Fiscal Year Research-status Report
マウス前庭野の同定と前庭障害後の前庭野の可塑性の評価
Project/Area Number |
20K18244
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小木 学 新潟大学, 医歯学総合病院, 客員研究員 (70833169)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 前庭野 / GCaMP / CB57BL/6 / マウス / フラビン蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト、サルのPIVC領域を参考にフラビン蛋白蛍光イメージングを用いて島付近の側頭葉を中心に観察し、マウス大脳皮質の前庭野を試みている。ウレタン麻酔(1.65g/kg、腹腔内注射)したマウスの頭部皮膚をブピバカイン皮下注による局所麻酔後に切除、側頭筋を翻転させ、大脳側頭葉を明視下に置き、経頭蓋的に青色励起光(450-490 nm)を脳表に照射し、脳表より放射される緑色自家蛍光(500-550 nm)を冷却CCD カメラ(AQUACOSMOS/Ratio with ORCA-ER camera, Hamamatsu Photonics, Hamamatsu, Japan)により撮影する。反応は1 秒あたり9フレーム(約110msec毎)の頻度で撮影し、撮像は35秒間隔で10trial/session行う。フラビン蛋白蛍光の強度変化を、コンピュータ上で疑似カラー化し、イメージングで得られた画像上に領域ごとに関心領域(Region of Interest:ROI)を設定し、蛍光反応の強度を経時的に計算・比較する。 5-8週のCB57BL/6マウス、GCaMPマウスをペントバルビタール腹腔内麻酔下に外側および後半規管の隆起部を同定し、内耳電気刺激には中耳骨胞に小孔をあけ、そこから電極を正円窓に挿入し陰性矩形波で電気刺激とした(ガルバニック刺激)。刺激が前庭系へ入力したことの確認はハイスピードビデオカメラを用いて、マウスの眼振所見でを捉えた。島皮質の前方に活動がガルバニック刺激の頻度に依存して神経活動の変化を認め、刺激は低頻度の方が前庭野が活動し、高頻度になると聴覚野が活動する傾向があるとが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、フラビン蛋白蛍光イメージングを用いて島付近の側頭葉を中心に観察し、マウス大脳皮質の前庭野を試みている。研究初年度は、正常マウス、GCaMP6fノックインマウスを用いて内耳電気刺激(ガルバニック刺激)を行い、皮質の前方に活動が刺激の頻度に依存して神経活動の変化を認めた。刺激は低頻度の方が前庭野が活動し、高頻度になると聴覚野が活動する傾向があるとが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスの前庭野はまだ同定されていない。脳機能イメージングを用いてカロリック刺激や内耳電気刺激に反応する大脳領野を前庭野として同定することを推進していく。コントロール実験として、内耳破壊動物ではカロリック刺激や内耳電気刺激を行っても前庭野の反応を認めないことを確認する。一側前庭破壊後代償が完成した時期に視覚刺激や聴覚刺激、体性感覚刺激で前庭野が賦活化されるかどうか、あるいは内耳破壊前より強い反応がみられかどうか調べることで、前庭障害後の前庭野に可塑性が生じ、他の感覚入力に対する反応性が亢進することを証明する。
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Causes of Carryover |
研究初年度は多くを物品費に使用した。他研究者と共同使用の機器を合同で購入した。来年度以降、消耗品を含めた多くの物品が必要になること、学会の現地参加が増えることが予想されるため、計画的に使用できる予定である。
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